「日本の女性映画監督を知らないか」。2020年、フランス。1人の日本映画専門家が大手配給会社から、そんな問い合わせを受けた。専門家がふと思い出し、紹介したのが日本映画の黄金期を支えた大女優、田中絹代(1909~1977年)だった。実は田中は、1950年代の日本で女優業の傍ら6本の作品でメガホンをとった。フランスの映画関係者は女性監督の先駆けとして評価するが、その功績は母国の日本であまり知られていない。
日本で忘れ去られていた田中絹代の作品はフランス全土で上映され、古典映画としては異例ともいえる高い支持を、若い観客から得た。14歳で松竹に入社し、看板女優となるまでの決して順風満帆とは言えない田中の歩み。そして、女性監督としての強い信念は今なお色あせず、光を放ち続けている。(共同通信=井上大...












