菅義偉首相の後継を決める自民党総裁選の告示を見届けるように、竹下派会長の竹下亘元復興相(衆院島根2区)が74歳で亡くなった。2019年1月に食道がんを公表して長期療養。復帰を果たしたものの、今年5月に再び体調を崩し、7月に政界引退を表明していた▼復帰後に注目を集めたのが今年2月だった。国や東京都の新型コロナウイルス対策を不十分とする丸山達也島根県知事が、東京五輪聖火リレーの県内中止を検討しているとの報道を受け、「(知事に)注意しようと思う」と発言。県内の有権者からも「上から目線だ」と批判が高まった▼その7日後、丸山知事に対し「オリンピック(を持ち出すこと)は筋が違う」というのが真意だったと説明。同じ状況に置かれている複数の県で連帯して声を上げるようにアドバイスした。「地方を思う気持ちが人一倍強かった」(細田博之衆院議員)だけに、地元からの批判は無念だっただろう▼兄の竹下登元首相も21年前、病気療養中に政界引退を表明し、76歳で亡くなった。「ふるさと創生」の遺志を受け継ぎ、後継の亘氏が衆院選で初当選したのは、兄の死後6日目だった▼冒頭の総裁選が29日に投開票されるのに続き、次期首相を選出する臨時国会を受けて、衆院選が10月下旬にも公示される。1958年から続いた「竹下」の名前はなくなるが、「ふるさと創生」の灯は消してはならない。(健)