南極にみられる5億年前の岩石
南極にみられる5億年前の岩石
5億年前にあったゴンドワナ大陸
5億年前にあったゴンドワナ大陸
筑波大学生命環境系教授 角替 敏昭
筑波大学生命環境系教授 角替 敏昭
南極にみられる5億年前の岩石 5億年前にあったゴンドワナ大陸 筑波大学生命環境系教授 角替 敏昭

2億年前大陸が分裂 石が地球の歴史語る

 「南極」と聞くと、みなさんどんな印象(いんしょう)を持っていますか。「雪と氷だけの寒い世界」と思われるかもしれませんが、南極の氷の下には南極大陸があります。夏(11月から1月、それ以外はずっと冬)の間、雪や氷がとけて、少しだけ大陸の石が顔を出します。また、海の氷もとけるので、船で南極大陸まで行くことができます。

 日本の南極観測隊(かんそくたい)は、毎年その頃(ころ)に南極観測船「しらせ」で昭和基地(きち)まで行って、物資(ぶっし)の輸送(ゆそう)や隊員の交代を行います。

 私(わたし)たちのような「石」を研究している隊員も、その短い夏にあわせて調査(ちょうさ)を行います。南極の石をしらべていると、【写真】のような、しま模様(もよう)の石がたくさんあります。これは「片麻岩(へんまがん)」という岩石で、もともとは砂(すな)や泥(どろ)だったものが、地下の深いところで別の石にかわったものです。この石を詳(くわ)しく調べると、今から約5億年前にできたことがわかりました。

 私は今、インドの石も調べていますが、よく似(に)た石があります。詳しく調べたところ、この南極とインドの石は、できた時代も深さも、全く同じでした。つまり、双子(ふたご)のような石でした。しかし、南極はいま地球の南の端(はし)にあり、インドは北半球にあります。どうして同じ石が、このように離(はな)れた場所にあるのでしょうか。

 実は約5億年前には、インドは南極やオーストラリア、アフリカとともに南半球にあり、【図】のようなゴンドワナ大陸という大きな陸地をつくっていました。この大陸は約2億年前に分裂(ぶんれつ)しましたが、インドは徐々(じょじょ)に北上してユーラシア大陸と衝突(しょうとつ)して、ヒマラヤ山脈(さんみゃく)ができました。エベレストのような高い山は、インドがぶつかることによってできたのです。

 みなさんの周りにある石にも、地球の長い歴史(れきし)が記録されているかもしれません。

 

筑波大学生命環境系教授 角替 敏昭
■略歴(りゃくれき)
 1965年静岡県生まれ。93年筑波(つくば)大学大学院博士(はくし)課程(かてい)修了(しゅうりょう)。93年より8年間、島根大学教育学部に勤務(きんむ)。97-98年に第39次、2010-11年に第52次南極地域(ちいき)観測(かんそく)隊(たい)に参加し、南極の岩石の研究を行った