農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)上級研究員 北澤 裕明
農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)上級研究員 北澤 裕明
農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)上級研究員 北澤 裕明

捨てられないよう腐敗や傷から守るよ

 私(わたし)たちと同じく野菜や果物(くだもの)は収穫(しゅうかく)されて運ばれている間にも呼吸(こきゅう)をしています。呼吸によって、中身の成分が変わってしまうと、見た目や味が悪くなることがあり、売り物にならなくなったものは捨(す)てられてしまいます。そこで、呼吸を抑(おさ)えるために包装の中には野菜や果物が出すガスを調節する働きを持ったものがあります。このような包装のほとんどは野菜や果物のみずみずしさを保(たも)つために水分量を調節する役割(やくわり)をかねています。

 また、野菜や果物は柔(やわ)らかいものが多く、トラックなどで運ばれている間に傷(きず)がついてしまうことがあります。傷は見た目を悪くするだけでなく、腐(くさ)るのを早めてしまうこともあり、やはり捨てられるものを増(ふ)やしてしまいます。そこで、いろいろなクッション機能(きのう)を持たせた包装が考えられています。

 最近、使ったあとにごみになる包装をなるべく使わないようにしようという動きが広がりつつあります。でも包装は、私たちが食べる野菜や果物を守るためになくてはならないものです。いまの日本では野菜を100個(こ)収穫すれば、そのうちの10個くらいは、私たちの家に届(とど)くまでの間に捨てられていると考えられています。果物では少し多くて100個のうち16個くらいが捨てられると考えられています。

 むやみに包装を減(へ)らすと、捨てられる野菜や果物がかえって増えてしまうことにも気をつけなければいけません。捨てられる野菜や果物と、使われる包装の両方を減らすために、いまより少ない量でも守る機能をしっかり発揮(はっき)できる包装や、リサイクルしたり自然に分解(ぶんかい)したりしやすい材料でできた包装が、今後ますます求められてくるでしょう。
 

農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)上級研究員 北澤 裕明
■略歴(りゃくれき)
 1979年京都府生まれ。2002年島根大学生物資源(しげん)科学部農業生産学科卒、04年島根大学大学院生物資源科学研究科修了(しゅうりょう)。07年鳥取大学大学院博士課程(はくしかてい)修了(農学)。07年より農業・食品産業技術総合研究機構(ぎじゅつそうごうきこう)に勤務(きんむ)しながら15年神戸(こうべ)大学大学院博士課程後期課程修了(工学)。国際(こくさい)包装(ほうそう)研究機関連盟(れんめい)理事