学校で話せるようになるための工夫のイメージ図
学校で話せるようになるための工夫のイメージ図
島根県立大学人間文化学部保育教育学科教授 園山 繁樹
島根県立大学人間文化学部保育教育学科教授 園山 繁樹
 学校で話せるようになるための工夫のイメージ図 島根県立大学人間文化学部保育教育学科教授 園山 繁樹

一緒にできる工夫で困りごとを減らそう

 私(わたし)が研究しているのは「障害(しょうがい)科学」です。障害がある人が幸せな人生を送るためにどんなことが必要なのかを研究しています。障害科学は、自然科学の他に社会科学や人文科学など、いくつかの学問分野にまたがるサイエンスです。今回は、家では話せるのに、学校では声が出なくなる「場面かんもく」という状態(じょうたい)を紹介(しょうかい)します。

 学校では返事や発表、本読みなど、声を出す場面がたくさんありますね。そんな時、声を出すことができないとどうでしょう? 朝の健康調べで「はい、元気です」と言えません。本は読めるのに、皆(みな)の前では読めません。答えがわかっていても声が出ません。先生や友達に伝えたいことがあっても声が出ません。「場面かんもく」の人たちは、学校で毎日こんなに多くの「困(こま)った」を経験(けいけん)しています。どうしたらよいのでしょう?

 どうして声が出なくなるのかは、まだよくわかっていません。でも、声を出さなくても授業(じゅぎょう)に参加したり、一緒(いっしょ)に遊んだりできるよう工夫(くふう)することはできます。

 たとえば、「はい、元気です」の代わりに手で「グー・サイン」を作る、ノートに書いた答えや作文を他の人に読んでもらう、答えを黒板に書く、本読みや歌は班(はん)の人と一緒にする、先生や友だちにはメモで伝えるなどです。すると学校で困ることが減(へ)り、楽しくなります。

 これらの工夫は「合理的(ごうりてき)配慮(はいりょ)」と呼(よ)ばれ、毎日の「困った」を減らすことができるのです。私は現在(げんざい)、学校で話せるようになる研究も進めています(図)。

 

島根県立大学人間文化学部保育教育学科教授 園山 繁樹
■略歴(りゃくれき)
 1956年、出雲市生まれ。高浜(たかはま)小、出雲三中卒。国立松江高専(こうせん)3年中退(ちゅうたい)。大阪教育大学・同大学院で障害児(しょうがいじ)教育を学び、筑波(つくば)大学大学院博士(はくし)課程(かてい)で障害科学を専攻(せんこう)。博士(教育学)。筑波大学教授などを経(へ)て、2019年から島根県立大学教授。筑波大学名誉(めいよ)教授。日本場面緘黙(かんもく)研究会会長。