あらかじめ案分票をパターン別に分けて開票する松江市選挙管理委員会=31日午後9時ごろ、松江市学園南1丁目、市総合体育館
あらかじめ案分票をパターン別に分けて開票する松江市選挙管理委員会=31日午後9時ごろ、松江市学園南1丁目、市総合体育館

 31日の衆院選島根1区で開票作業に当たった松江市など9市町村選挙管委員会は、氏名の読み方が同じ「かめい・あきこ」の2候補に振り分ける「案分票」の扱いに苦心した。開票終了時間は当初予定より1時間50分ほど遅れ、より丁寧な処理を心掛けたことが伝わった。しかし、島根県選管や各市町村選管は案分票とした数や、判断基準について選挙後でも明らかにしておらず、有権者の投じた1票がどのような判断をされたのかは分からずじまいだ。トラブルはなかったとみられるものの、後味の悪さが残る。 (報道部・古瀬弘治)

 有効投票総数9万5502票で9開票所中最多だった松江市。開票会場の区分け用のパックに貼られた付箋紙に「あきこ、あき子、アキコ、亀井あきこ、カメイ…」など案分票にする事例が20通り以上示された。

 立候補した3人のうち氏名の読みが同じだったのは、立憲民主党前職の亀井亜紀子氏と無所属新人の亀井彰子氏。

 公示日に「亀井」と届け出た彰子氏は、後日に「龜(かめ)井」と届け直した。このため、県選管は有権者が区別できるとみていた。

 しかし、公職選挙法では実際に案分票にする判断は各開票所の管理者に委ねられている。松江市選管は基準を明らかにしていないものの、「龜」と「亀」は区別せず、案分票として双方に振り分けた可能性がある。

 字が見えづらいなども含め、どちらに入れたか判別が難しい疑問票や、案分票の取り扱いを誤らないように、9市町村は数えた票をチェックする審査係を増やし、経験豊富なベテランを投入するなどした。

 9市町村で小選挙区の確定が1日午前0時18分と最も遅かった隠岐の島町。関係者によると約8千票の有効投票数のうち3%程度で疑問票が発生したという。関係者は「『亀井亜』などいつもなら明確な票も疑問票にして作業が進んだ」としており、慎重に判断したことがうかがえる。

 さらに、開票所には各候補者が選挙人名簿から選ぶ立会人もおり、松江市選挙管理委員会の藤川祐介事務局長は「疑問票を判断する際にも、立会人に丁寧に説明した上での判断で時間がかかった」と振り返った。

 戦後、島根県内の国政選挙で氏名の読みが同じ候補者が出たのは初めて。案分票の数や判断基準が注目されたが、県選管事務局の井上幸信・選挙グループリーダーは「票をどのように扱うかは、開票管理者が決めることで、答える立場にない」とした。

 選管の対応は、法律上問題ないが、自分が書いた票がどう扱われたか謎の部分が残らないよう、事後説明できるようにするのも大事な役割ではないか。

 選挙制度に詳しい米子工業高等専門学校の加藤博和教授(地域政策)は「どのような票が何票、案分票とされたのかなどを明らかにすることは、今後間違いの少ない投票につながる。投票の秘密保持で選挙と有権者を遠ざけていることになっているのではないか」と指摘した。