1993年4月、全日本プロレス出雲ドーム大会で初めてジャイアント馬場を見た。グッズ売り場に鎮座し、葉巻をくわえてタオルにサインをしていた。試合の記憶は消えたが、スタン・ハンセンに捕まった観客が鼻血を出したのと、16文キックを繰り出す馬場の大足を鮮明に覚えている▼16文を換算すると約38・4センチ。実際には16文より小さかったといい、サイズは31~34センチと諸説ある。それでも人並みを外れていた。「さすがに馬場の靴はでかいなぁ」と驚いたが、10年余りで馬場と同じ大台の靴を履くようになるとは当時、つゆほども思わなかった▼普通の30センチではきつい。横幅の広い4Eというタイプでなければ入らない。地元では選択肢がないため、東京の〝大足〟専門店に行かねばならない。それがコロナ禍で足止めに。1年半前に買った靴は表面がはげて内側の型崩れがひどく、限界がきていた▼先月下旬、感染者数が減り始め、間隙(かんげき)を縫うように東京へ出掛ける機会があった。いつもの店で履き心地を確認し「30センチ4E」の靴を購入した。特殊な大足は試し履きが必至。通信販売で合う靴が見つかるとは思えない▼大足はほんの一例にすぎない。いくら通信・輸送網が進んでも医療や学業、ビジネスで都市部に行かねば解決できない事案が多い。地方暮らしはマイノリティー(少数派)に厳しい。新たな変異株が脅威にならなければいいが。(釜)