枯れ竹に穴を開けて巣を営むという独自の生態を持つ外来種のハナバチ「タイワンタケクマバチ」が今年の夏、島根県内で初めて確認された。攻撃性は低く、強い毒は持たないが、竹ぼうきなど身近な竹製品に巣を作る可能性があり、気づかず近づいて刺されることには注意が必要だ。
島根大生物資源科学部の昆虫生態学研究室が調査した。7月に大田市鳥井町で1匹、8月に出雲市湖陵町で3匹、いずれも海岸でハマゴウの花付近にいるのを見つけた。
タケクマバチは頭部から胴部が黒く、羽は褐色で、体長は約3センチ。枯れ竹の表皮をかじり取って穴を開ける。竹内部に、竹くずを用い、幼虫を育てる育房を作る習性がある。
インドから台湾にかけて広く生息し、日本では2006年に愛知県で初めて確認されて以降、西日本を中心に生息域を広げている。鳥取県では19年に見つかった。遺伝子解析によると、国内のタケクマバチは中国大陸由来であり、中国から輸入された竹材に巣があったと推測される。
同研究室の宮永龍一教授は「特定の花だけを好むわけでなく他のハチとの競合の恐れは少ないが、爆発的に増えた場合、生態系への影響はありうる」と話し、継続的な分布調査の必要性を説く。
(佐貫公哉)