グループ化後、初めての勉強会に約60人が集まり、面目躍如となった自民党の石破茂氏。求心力低下が著しい中、さぞほっとしたのではと思いつつ、半年前の党総裁選を思い返した▼敗れた戦いで支援した河野太郎氏は、石破氏が警鐘を鳴らし続けてきた東京一極集中の是正と地方創生の解消策にリモートワーク推進を挙げ「東京の給与体系を持って多くの人が地域に戻れば消費、雇用も活発になる」と熱弁したが、違和感を覚えた▼コロナ禍でリモートワークが加速。ネット大手ヤフーは4月から、社員が全国どこでも居住できるよう制度を拡充する。通信環境さえあれば仕事が成り立つ企業では、間違いなく今後のトレンドになるだろう▼満員電車もなく、土地も広い山陰は、働く環境としてこの上ない。地方暮らしを選択する人がますます増えてほしいし、増やさねばならない。しかし、少しモヤモヤしている。東京の〝超密〟の解消は喫緊の課題ではあるが、地方への人口移動=地方創生という方程式が、まだうまく描けないからだ▼地元で育ち、暮らす人にとって、仕事と年収が「東京のまま」働く人との間に見えない〝境界線〟が生まれ、いつまでも「ヨソモノ」に見えはしないか。移住する人は当然悪くないし、その人たちを起点に新ビジネスや地域の取り組みが生まれる。境界線をどう取り払うかも、コロナ禍後の地方創生の宿題だろう。(築)