選挙のたびに私たちが手にする投票用紙が「紙」ではないことをご存じだろうか。実は樹脂でできておりどちらかと言えばフィルムに近いらしい。表面に微細な穴が施され、芯が削れて入り込むことであのスラスラと鉛筆が進む独特の書き心地が生まれる▼投票用紙に採用されるようになった理由は、折って投票箱に入れても自然に元に戻る特性があるため。いちいち用紙を開く手間が省け、開票作業の効率化に大いに貢献している▼5日に投開票される米子市議選もこの用紙を使う。だが、問題は投票者が減っていることだ。平成初期まで70%を下回ることのなかった投票率は4年前の前回選で47%台に低下した。市政への関心の低さや物足りない論戦など要因はさまざまあるが、2人に1人が投票の権利を放棄する事態を繰り返してはならない▼投票率の低下は全国共通の課題でもある。その原因の一端は〝ガラパゴス化〟した選挙運動ルールにあると思う。最近になってインターネット活用が解禁されたが、その他は「あれも駄目、これも駄目」と、戦後混乱期に定めたがんじがらめの規制が残ったまま。うんざりする選挙カーからの名前の連呼も、走行中の車からの演説が禁じられているためだ▼主要先進国の中で日本の選挙運動の自由度は極めて低い。候補者を遠ざけ、理念や政策を知る機会を有権者から奪う時代遅れの制約は、もう改めよう。(文)