成人年齢がこの春18歳に引き下げられ、18、19歳はより社会的責任と自覚を求められることになった。22日公示の参院選では、新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限や人口減少といった地方が抱える社会課題など、それぞれが感じた政治に対する不満や希望を一票に込める。 (井上雅子、山本貴子)
選挙権年齢は、2016年から対象が「18歳以上」に引き下げられた。島根県内の18、19歳の投票率は16年参院選が38・94%だったのに対し、19年参院選では28・11%と10ポイント以上下落。若者の関心の低下が懸念される中での今春の成人年齢の引き下げとなった。
倉吉市出身の島根大1年生、阿部朋治さん(18)=松江市西川津町=は昨年12月に投票権を得る年齢に達し今回初めて、国政選挙を経験する。
特に新型コロナの感染拡大で高校の2年間は政府による「緊急事態宣言」をはじめ、さまざまな社会活動が制限され、楽しみにしていた学園祭は中止になった。修学旅行の行き先も急きょ国外から県内に変わった。新たな人間関係に恵まれた大学入学後も行動制限は続いたが、やむを得ないことだと受け止めた。政治に対しては募る思いがあり「投票には行く」と語気を強める。
勉学では水産業に興味を持つ。低迷する地方の1次産業を盛り上げたいという思いを抱いており「(政治家が主導して)もっと広く魅力発信する仕組みを作ってほしい」と訴えた。
「働いて政治とのつながりを実感した」と話すのは、松江市内の建設会社で事務職員として働く熊沢琳さん(19)。昨年入社し、マスクで相手の表情が見えない中、会社に貢献しようと試行錯誤した。公共事業や景気動向の影響を受ける業種だけに「政治家の存在を意識するようになった」と話す。
私生活では普通車を購入し「自動車税の高さに驚いた」のと同時に納税者の立場も強く意識するようになったといい、税金をどのように使おうとしているのか、候補予定者の声に耳を傾けるつもりだ。
この春、18歳になった出雲商業高校(出雲市大津町)3年の高田咲羽さんは学校の課題研究で地域振興に関わる。地元企業とスイーツを共同開発するなど、出雲をいかに盛り上げようかと知恵を絞る。
それだけに課題もよく目に入る。高田さんは「地域を巡る中、街の活気の弱さが目に付く」といい、地方に光が当たるような政策を導ける候補者を探したいと強調する。