ちょうど4カ月前、松江市内では「竹島の日」記念式典が開催されていた2月22日。ロシアのプーチン大統領による一方的なウクライナ親ロシア派支配地域の独立承認を受け、日本政府が対ロ制裁へ先進7カ国(G7)との大詰めの調整に入っていた▼経済制裁発動で歩調をそろえたG7に対し、ロシア側の報復措置として予想されたのが原油供給。滞ると原油の需給が国際的に逼迫(ひっぱく)して価格が高騰し、家計圧迫につながりかねない。24日付当欄で「対岸の火事ではない」と呼び掛けた。ロシアが軍事侵攻に踏み切ったのはその日のこと▼ところが、日本への影響はそれだけでは済まなかった。主要産地のウクライナ情勢に北米の不作も加わり、輸入小麦が高騰。光熱費や食品の大幅な値上がりが生活を直撃している。止まらない値上げラッシュに悲鳴を上げたくなる▼「ロシアのウクライナ侵略が世界各国で国民の懐を直撃している。まさに有事の価格高騰だ」。野党から「経済対策が無策だ」と批判を受ける岸田文雄首相は、通常国会閉幕を受けた記者会見でこう語り、「物価・賃金・生活総合対策本部」の設置を表明。早速きのう初会合を開いた▼参院選がきょう公示を迎える。最大の争点は物価高対策になりそうだ。確かにロシアの侵攻が発端ながら、それを言い訳に有効な手だてが打てなければ、有権者から手痛いしっぺ返しを食らうことになる。(健)