参院選のポスター掲示板を設置する委託業者=3日、松江市末次町の末次公園
参院選のポスター掲示板を設置する委託業者=3日、松江市末次町の末次公園

 あす公示される参院選に関連して「○○の3年」という言葉を聞くようになった。一足先に選挙後の日程を見越した言い回しだ。衆院選は昨秋あったばかりで任期途中の衆院解散がない限り、2025年秋まで行われない。参院選は3年に1度だから、次は25年夏。つまり今後3年間は国政選挙がないことになる▼今回の参院選で勝てば「黄金の3年」を手に入れるとされるのが岸田文雄首相。当分の間は選挙や支持率を意識することなく、思い切った政策に取り組むことができる▼対して、有権者にとっては「空白の3年」になるとの見方もある。憲法改正や外交・安全保障、経済戦略など国の在り方を左右する重要な判断について、民意を示す場がなくなるからだ▼さて、参院選鳥取・島根合区選挙区には5人が立候補を予定する。顔触れの数こそ多いが、これまでになく盛り上がらない、と冷めた声を各所で耳にする。与党の緊張感の乏しさや迫力を欠く野党の姿勢が一因だろう。だが、賃金が上がらぬ中で物価高が続き、家計の負担は一段と重くなった。今こそ政治の対応力が問われている▼ここ最近、「毎月の歳費(給与)は100万円しかない」「家計が値上げを許容」と国会、日銀トップのあきれる発言が続いた。生活者実感と懸け離れた感覚で政治が進められて困るのはわれわれだ。「お任せ民主主義」の白紙委任は後で悔やむことになる。(文)