公正取引委員会を舞台にした新川帆立さんの新作『競争の番人』
公正取引委員会を舞台にした新川帆立さんの新作『競争の番人』

 「法の番人」は誰?と問われて思い浮かぶのが、裁判所や検察、警察だろう。では「競争の番人」は?正解は公正取引委員会。独占禁止法を運用するために設置された機関で、略称は公取委。他から指揮監督を受けることなく独立して職務を行う▼国民生活に影響の大きい価格カルテルや談合、中小事業者などに不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用(らんよう)などに対処する重要な役割なのだが、国民の認知度はいまひとつ▼公取委を舞台にしたミステリー作家新川帆立さんの新作『競争の番人』でも、登場する審査官が<財務省に虐(いじ)められ、経産省に馬鹿(ばか)にされ、検察からは疎まれている。国民はどうだ。俺たちのこと、全然知らないだろ。こんなに頑張っているのに>と嘆くシーンが出てくる▼本当にそうなのか-。先日、懇談した公取委委員に尋ねると、明確な返事はなく苦笑い。代わりに、主人公が所属する「第六審査」(通称ダイロク)は架空の職場で、実際は第五までしかない、と教えてくれた▼ともあれ、国民に広く業務を知ってもらう千載一遇の好機がやって来た。新川さんの『競争の番人』が、俳優の杏さんと坂口健太郎さんの主演で、7月からテレビドラマ化されるという。ウクライナ危機による原材料の高騰を価格転嫁できず、苦しんでいる下請けの中小企業もあるだろう。こんな時世だからこそ、「競争の番人」の力が必要になる。(健)