石見銀山展で展示された、南米ボリビアのポトシ銀山で使われた道具=2017年8月、島根県立古代出雲歴史博物館
石見銀山展で展示された、南米ボリビアのポトシ銀山で使われた道具=2017年8月、島根県立古代出雲歴史博物館

 15年前のきょう、石見銀山遺跡(大田市)の世界遺産登録が決まった。あの歓喜を追憶すべき節目ではあるが、大国同士がエゴをむき出しにする現在の世界情勢を鑑みると、世界史で悪(あ)しき一ページに数えられるはずの別の銀山のことが思い浮かぶ▼南米ボリビアにあるポトシ銀山。石見銀山とは共通点が多い。ともに16~17世紀に最盛期を迎え、当時は世界の二大銀山とされた。現在はともに世界遺産に登録されている。ただし、ポトシの労働環境は石見とは大きく異なる。多くの先住民が徴用され、奴隷のごとく酷使された。落命した者は多い▼コロンブスの米大陸到達から金銀奪取をもくろむスペイン人の入植が始まり、先住民が受けた苦しみは計り知れない。大虐殺、せん滅といった風だ。その流れの中にポトシ銀山があった▼石見銀山開発は日本史なら戦国時代、世界史なら大航海時代に盛んになった。高度な文化・文明を築いた米大陸のアステカ帝国、インカ帝国が戦い慣れていなかった故に侵略されて滅ぼされ、正反対の日本が憂き目に遭わなかったのは、力こそ全ての殺伐さを物語る▼時代が下り欧米列強の帝国主義が始まると、中国やインド、オスマン帝国といった大国も、うかうかしているうちに苦い歴史をかみしめる結果を招いた。激しい暴力を持ち込んだのは誰か。平和ぼけし、欧米中心の秩序維持を望みつつ、消えぬ問いがある。(板)