夏休みの課題の一つである自由研究は、どのように進めれば良いか頭を悩ます人も多いだろう。テーマ選びや進め方のポイントを聞いた。
夏休みの課題の一つである自由研究は、どのように進めれば良いか頭を悩ます人も多いだろう。テーマ選びや進め方のポイントを聞いた。

 夏休みには学校から課題が出され、中でも「自由研究」は何を調べれば良いのか、どうやって進めるのか、アイデアが浮かばない人も多いと思う。テーマ選びや研究の進め方について出雲科学館(出雲市今市町)の講師・日野武志さんに教えてもらった。(Sデジ編集部・宍道香穂)

出雲科学館の講師・日野武志さん

①  テーマを選ぼう! ワクワクすることに注目してみよう
 まずは研究のテーマを選びます。「このエリアにはどんな虫がいるのか」「割れにくいシャボン玉を作るにはどうすればいいか」「植物の芽はどんな風に出てくるのか」など日常生活の中で疑問に思ったことや興味があること、考えるとワクワクすることに注目してみましょう。
 研究を進めるには観察、採集、工作といったさまざまな方法があります。選んだテーマをもとに、どんな研究方法が適しているか、考えておきましょう。「テーマが決まったが、どんな方法で調べれば良いのか分からない」という場合は図書館で関連する本を借りて読んだり、先生や保護者の人に相談したりしましょう。

②  計画を立てよう! 開始から終了まで、仮説も立ててみよう
 テーマが決まったら研究の予定を立てます。いつからいつまで実施するのか、必要な道具や材料は何か、どんな条件で実行するのかを考えましょう。例えば発芽の過程を調べる観察であれば「毎日1回、午前10時に写真を撮り、一週間続ける」など開始から終了まで、いつ、どんな条件で実施するのかを決めます。また「2日後に芽が出始め、5日後には5センチほど茎が伸びているのでは」など仮説も立てておきましょう。

バナナが熟す様子の定点観察の例。撮影する時は、次の撮影との時間の間隔をなるべく同じにすることがポイント。(出雲科学館提供)

 計画を立てる時のポイントとして日野さんは「条件設定をそろえることが大切」とアドバイスします。
 例えば「よく回るこまを作るにはどうすれば良いか」を調べる時、円盤の大きさ、高さ、軸を取り付ける位置などいろいろな条件を変えてみようと思ったとします。しかし、大きさ、高さ、位置の全てを同時に変えてしまうと、結局どこがポイントだったのか分からなくなってしまいます。大きさを変える時は高さや位置をそのままにするなど、変える条件は一つだけにすることが重要です。

 

③  さぁ実行! 予想と結果が違ってもあきらめずに
 計画を立てたら、いよいよ研究に取りかかります。実験や観察、採集に取り組む時は日付や時間、天気、気温、場所を記録しておきましょう。途中で気づいたこと、疑問に思ったこと、困ったことも書いておくと結果をまとめる時に参考になります。

 途中で「想像していた結果と違った」と困ってしまうこともあるかもしれませんが、日野さんは「仮説と結果が違ったから失敗というわけではない。なぜ思ったようにならなかったのかを考えてみると、新たなものが見えてくる」と助言します。予想と結果が違う時こそ、テーマを深く考えるチャンスです。うまくいかないからと途中で投げ出すのではなく、自分なりに考えを深めてみましょう。

 

④  結果をまとめ、考察しよう! どんな発見があったかが大切
 実験や観察が終わったら、研究の内容をまとめます。テーマについて調べようと思った理由やきっかけ▽どんな方法で取り組んだか▽結果や記録▽分かったこと▽新たに生まれた疑問▽うまくいかなかった部分ーなどなるべく具体的に書きます。結果はイラストや表、グラフを使うと分かりやすくまとめられそうです。

 次に、その結果から考えられることをまとめます。「よく回るこまを作るには、軸をこの部分に付けると良いと分かった」「この地域にはこんな植物が生えている」といった、実験や観察の結果から推測されることを書きましょう。楽しかった、面白かったといった「感想」ではなく、どんな発見が得られたかを考えることが大切です。

 

 実験の前に立てた仮説と同じ結果だったか、違ったか、新たに疑問に思い調べてみたくなったことは何か、もっとこうすれば良かったかもしれないという発見も書いてみましょう。夏休みの自由研究は休みが明けたら提出しなければいけませんが、自主的にする研究はいつ取り組んでも問題ありません。新たな疑問や興味がわいたらぜひ、新しい研究に取り組んでみましょう。

▷観察力や考察力を育てるチャンス!
 日野さんは「自由研究は観察力や考察力を育てる良い機会。現代はインターネットで検索すれば多くの疑問を解決できるが、自由研究では観察や実験といった体験を通して知識を身に着けられる」とアドバイスしてくれました。

 自分なりに考えた方法で疑問を追求すると、物事を調べる「過程」を体験できます。せっかく自由研究に取り組むならば、面倒くさい宿題だと思うのではなく「面白い体験ができるチャンス」と考え、新たな発見を楽しんでみると良いかもしれません。

 出雲科学館
 午前9時半から午後5時半まで開館。月曜休館(夏休み期間中は無休)。