試食会に協力した檀上歩美さん(左)と亀代羽菜さん=松江市浜乃木7丁目、島根県立大松江キャンパス
試食会に協力した檀上歩美さん(左)と亀代羽菜さん=松江市浜乃木7丁目、島根県立大松江キャンパス
風流堂の「ひとくち饅頭」
風流堂の「ひとくち饅頭」
福田屋の「松江ふわり」
福田屋の「松江ふわり」
三英堂の「白どら」
三英堂の「白どら」
中浦食品の「あんケーキサンド」
中浦食品の「あんケーキサンド」
試食会に協力した檀上歩美さん(左)と亀代羽菜さん=松江市浜乃木7丁目、島根県立大松江キャンパス 風流堂の「ひとくち饅頭」 福田屋の「松江ふわり」 三英堂の「白どら」 中浦食品の「あんケーキサンド」

 山陰の新たな銘菓を目指し、松江市内の和菓子店など4社が連携して試作を続けてきた4種類のお菓子「ご縁をむすび」が27日、発売された。茶の湯の街、松江の和菓子として販売されてきたこれまでの格式高い和菓子から方向転換。いずれも口コミをリードする女性層や若者にお土産として受け入れられる手軽なものを意識して職人が工夫した一品だ。

 これまでとひと味違うこのお菓子は、実際の若者に果たして受け入れられるのか。発売前日の26日、島根県立大松江キャンパス(松江市浜乃木7丁目)で、女子学生を対象に開かれた試食会に同行した。(Sデジ編集部・吉野仁士)

 

 26日午後、「ご縁をむすび」の生みの親である三英堂、風流堂、福田屋、中浦食品の担当者が各社の商品を手に、緊張した面持ちで県立大を訪ねた。

 若者代表として出迎えたのは、ともに同大地域文化学科4年の檀上歩美さん(21)と亀代羽菜さん(21)。檀上さんは同大クッキングサークルの部長を務めており、二人ともお菓子の味にはこだわりがある。

 

▼ひとくち饅頭(風流堂)
 先陣を切ったのは、風流堂の内藤葉子社長。自社の銘菓である白い「朝汐」をベースに、獅子ユズの橙、抹茶の緑、コーヒーの黒、イチゴの赤という5色のまんじゅうをそろえた「ひとくち饅頭」(5個入り、888円)を紹介した。イチゴは安来産、製茶老舗の中村茶舗(同市天神町)の抹茶など、全てに県産食材を使用しているという。

 檀上さんは「全部色が違って見た目がまずかわいらしい。サイズ感もちょうどよく食べやすい」と絶賛。亀代さんも「小さくてカラフルでかわいい。一つ買って5種類味が楽しめるのもいいなと思う」と、かわいらしさとお得な試みを支持する。

 前向きな感想に、内藤社長は「うれしいです」とにっこり。と、ほぼ同時に「どういうシチュエーションでこういう和菓子を売れば若い世代が興味を持つと思うか」と質問した。おそらく店頭客は中高年が主であろう和菓子店にとって、直接若者から意見がもらえる貴重な機会なのだろう。

 学生陣は少したじろぎながらも、亀代さんからは「大学には県外から島根に来てる人も多い。学生が『地元と違って島根にはこういうお菓子もあるんだよ』と紹介できるお菓子なら買うと思う」と回答。内藤社長はうなずきながら真剣な表情でメモを取っていた。さながら就職試験の最終面接のような雰囲気だ。

 

▼松江ふわり(福田屋)
 続く福田屋の担当、福田有香里さんが取り出したのは、焼き菓子「松江ふわり」(4個入り、864円)。クリームチーズとあんを使うことで、若者に人気の和洋菓子を意識した。あんはあずきあんと抹茶あんの2種類があり、雲南市産の卵を使ってふっくら焼き上げた生地に包まれている。

 檀上さん「クリームチーズはすごく新しいと思う。生地の焼き上がりもきれいで、見た目も味も楽しめる」

 亀代さん「生地がすごく柔らかい。あんこ、チーズ、抹茶という組み合わせはイメージが無かったが、意外に合うんだという印象を受けた」

 そしてここでも、福田さんから「皆さんは何個入りなら買いやすいか」という質問が飛ぶ。亀代さんの「2個入りぐらいなら買いやすい。小さいサイズで量が多く、友達と分けられるものを買うことが多い」との答えに、これもまた熱心にメモを取っていた。

 

▼白どら(三英堂)

 次に控えるのは三英堂の担当、岡菜々子さん。クリームと、初代から受け継がれてきた伝統のあんを、木次乳業(雲南市木次町東日登)の牛乳を使った生地で包んだ、白い見た目が特徴の「白どら」(2個入り594円)を紹介した。出雲でよく使われる「八雲立つ~」というフレーズから雲をイメージして制作したと言うが、「見た目カラフルな方が若い皆さんに受けるのかなと不安な面もあったが、雲を表現するためにあえて白くした」と思いを述べた。

 檀上さん「食感がふわふわして普通のどら焼きと違う。どら焼きという概念を覆す見た目だし、新しい別のお菓子のように楽しみながら食べられた」

 亀代さん「どら焼きは1個でお腹いっぱいになる印象があるが、これは小さいし、生地が軽くて柔らかいのでパクパク食べられる」

 これに対し岡さんも「できる限り小さいサイズにして作った。生地のしっとり感を出すのが本当に難しくて、職人もお手上げになりそうだったがなんとか完成した」とうれしげ。若者の趣向も踏まえ、従来と異なるどら焼きとしたことが評価につながって、安心した様子だった。

 

▼あんケーキサンド(中浦食品)
 大トリは、中浦食品管理課の安食ゆかり主任が紹介した、若者に人気の洋菓子・マカロンを大きくしたような「あんケーキサンド」(5個入り918円)。県産米粉を土台にそれぞれイチゴ、はちみつ、抹茶を使った赤、黄、緑色のクッキーで、あんを練り込んだケーキとクリームを挟んだ三層構造のお菓子だ。

 檀上さん「クッキーとチョコとケーキの調和がとれていてすごくおいしい。筒のパッケージも筒状で手に取りやすい」

 亀代さん「イチゴ味を食べたが、イチゴの味がすごく伝わってくる。パッケージが透明で、中にお菓子が積み重なってるのが見えてかわいいし、若者に受けると思う」

 カラフルで少し変わった見た目が若者の好奇心をくすぐりそうだ。すぐにでも会員制交流サイト(SNS)で見せびらかしたくなる。安食主任は「クッキーが崩れるなど難しい面もあったが、試作を10回、20回と重ねたかいがあった」と手応えを口にした。

 

 一般的にイメージする昔からあるような和菓子は、とかく質素な見た目に少しくどい味で、最近の若者には敬遠されがち。だが、今回の試食会での学生の反応を見ると、いずれも若者の舌と感性に合った仕上がりとなっているように見えた。今後、ご縁をむすびを手にした県内外の若者たちが、きっとSNS上をにぎわせてくれることだろう。

 

同行した新人女性記者も試食した。

Sデジ編集部・宍道香穂(24)の感想
 試行錯誤を重ねつくられた色とりどりの可愛らしいお菓子は味覚でも視覚でも楽しむことができる。どのお菓子も、日本茶や抹茶と合わせた「和菓子」としてはもちろん、コーヒーと合わせて「スイーツ」としても味わえそうだと感じた。特に気に入ったのは、ゆったりと漂う雲をモチーフにした「ミルク薫る白どら」。ふんわりとした口当たりと優しいミルクの風味を感じ癒された。小腹がすいたときのおやつに、コーヒーを片手に食べたくなる。

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 「ご縁をむすび」は、各店舗(自社商品のみ)のほか、島根県観光物産館、一畑百貨店、おみやげ楽市シャミネ松江店、イオンスタイル松江、一畑百貨店出雲空港店、東京の日比谷しまね館や、通販サイト「山陰いいもの五つ星ショップ」などで販売している。