読者の皆さんから、身近なテーマについてコメントを募り、山陰中央新報とSデジに掲載する「さんコメ!」。「地方の暮らし、煩わしい?」に、たくさんの投稿をありがとうございました。紙面では、投稿の一部を紹介します。Sデジに全ての投稿と記者の雑感を掲載していますので、お楽しみください。(かっこ内はペンネーム。内容は一部要約・編集しています)
1、松江市出身、東京都在住です。まさに島根特有の濃いご近所付き合いや価値観や固定観念、閉塞(へいそく)感がどうしても合わず、狭い世界から早く抜け出したいという思いで、大学入学を機に地元を離れました。離れてみて初めて、何て狭い世界で生きていたんだろう、と感じ、自分らしさを認めてくれる環境や周囲に恵まれ世界が広がりました。個人的には、島根は若者からお年寄りまで、ある一定の価値観(暗黙の了解?)に合わせなければやっていけない世界だと感じることが多かったです。ちょっとでも秀でるところがあるといじめの標的になり、自分を出せない世界でした。時代の変化で約17年前から変わっていることを祈りますが、現在でもあまり変わらない話を島根で暮らす家族や友人から聞きます。もし昔の私のように、閉塞感で窮屈だなと感じている人がいるのであれば、一度外の世界を見てみてほしいです。島根から出たことで人生が変わり、自分らしくいられる、より過ごしやすい居場所を見つけることができました。マイナス面ばかり書いてしまいましたが、いろいろ思うところが多かった島根での生活だったものの、それでも大切な故郷であることは変わりないです。子どもから大人まで一人一人の考えが否定されることなく、尊重し合える社会となっていくことを切に願っています(ななママ)

2、結婚し主人の家族と同居しましたが、義母と合わずおよそ20年前に子どもを連れて離婚しました。「嫁イジメ」田舎あるあるです。離婚後、元主人とは以前よりお互いを理解するようになり、仲も良く時々一緒に出かけたりもしますが、周りから「離婚したのになぜ?」と少し嫌悪的な目で見られます。これも田舎あるある。私たちみたいな生き方があっても良いでしょう? 何も分からない人たちからどうのこうのと言われる筋合いはないと常々、思っているところです。
3、ほぼほぼ全て煩わしい! 特に「○○さんちの○○ちゃん、来年から○○高校へ行くんだってよー。あの子、頭良かったからねー」など、よその家のうわさ話。いい話ならまだしも、離婚話になるとあちこちで話が膨らんで事実とは全く違う話になっていたりする。いいかげん、人のうわさ話しを真に受けて広げるの、辞めませんか?
4、40歳の時、父の友人や知人に、田舎に帰って父を手伝うように言われ、江津に帰った。帰ると仕事が待っていた。がむしゃらに働いた。帰って35年になるが、仕事が忙しくて田舎が嫌だなど考える暇もなかった。周りの人たちも好意的で楽しく暮らせた。私にとって田舎の生活は最高だ。(ドルチェ)
5、同居の父方の祖父母は私に「女の子は結婚する時に家からお金を持って行く泥棒」と言っていました。当然、大学進学も認められず…。正直、祖父母の葬儀で悲しみを感じる事もなく涙も出ませんでした。今でもトラウマ(心的外傷)で、そんな価値観を受け継いだ父親とは疎遠です。まぁ反面教師にはなりましたね。(ネコネコ)
6、親戚から、知り合いの訃報。「あんたの家のとき香典もらっちょーけん、包んで」とせかされ、人の死を悼むよりも先に、香典のやり取りのミスがないか、など体裁ばかりを気にするところが、とても嫌。「人が見てる」「人が笑う」とどれだけ言われてきたか。法事など集まりでは「女はお酌して回れ」と言われる。地区会では男が上座、女は下座。変えようとしたところで「波風立てるな」「今まで通りでいい」という雰囲気に圧倒される。
7、町内で高齢者の自由な集いがあるのですが、いつも男性はなにもせず上げ膳据え膳の状態。女性はトイレ掃除から食事の支度、お茶やコーヒーの世話までしなければなりません。女性は何をしに集っているのか理解に苦しみます。このままでは行くのがおっくうになりそうです。(YOKO)
8、疑問に思うこと。車のナンバーでどこにいたか把握され、第三者にうわさすること。プロフィルを本人に聞かず第三者に聞くところ。在宅中に鍵を掛けていると近所の人にしかられ、鍵を掛けていないと、インターホンを鳴らさずに玄関を開けられる。
9、葬儀を、葬祭会館のような場所でやろうと提案しても、長老が「絶対に家でやる」と主張。「近所はみんな家でやっているから」が理由。世間体が判断基準になっていて、おかしいなと感じる。
10、近所に住む息子と同級生のおじいさんは夕方、毎日散歩をされています。たまにしか出会わないけど、出会えば近況や家族のことを話してくれます。笑顔でいろいろと話してくれ、元気な姿を見せてくれて安心します。地方での暮らしの良さだなあとしみじみ思います。(モンブラン)
11、「母子家庭だからたくさんお金もらってるんでしょ」。何も知らない人からの心ない言葉をこれまで多く聞かされました。母子家庭の手当なんてわずかしかもらえません。何もしないでお金がもらえるというねたみなのでしょうが、一度母子家庭を実際に経験してみてほしい。何も知らないで軽々しく言う言葉ではないと理解してもらえるはずです。都会でも嫌みを言う人はいますが、田舎はもっとひどい。ひとり親家庭に、理解と思いやりを。
12、地方に住む人々は、魂をしがらみに引かれて飛ぶことができない。(桑吐露・婆爺那)
13、山間部、核家族。夫婦で7年前にUIターン、子ども1人。主要部への買い物に出るのに20分以上かかるので不便。買いだめ必須。もう1台冷凍庫検討中。雪が積もるので、早朝の除雪作業と凍結対策必須。草の除草作業が大変、道路の除草や溝掃除なども行き届いていない。「親しい方に」と話したことを全然関係ない人が知っている。変わった様子があると全然関係ない人が、あーでもないこーでもないとうわさを立てる。常会は、毎月夜あるため赤ちゃんに手が掛かる時期は出にくい。消防団を抜けたがってる人がいるから、新しく来た人に押し付ける形になる。今、子ども1人だが、もう1人産まないとつまらないよと年配の方に言われた。など、生活面では都市部をうらやましく思う気持ちが強い。でも、気持ちに余裕が持てる時は、除草作業で汗をかくと爽快感を感じるし、夏は山から吹く風が涼しく、秋に木の実がコロコロ落ちている様子を子どもと見つけたり、冬雪が溶けてフキノトウを見つけたり、桜が咲いた時の季節の移り変わりを心からうれしく感じる。隣を気にせず庭でBBQをしたり、花火ができる、水遊びや、砂遊び、昆虫採集も好きな時にできる。大変な面、良い面上げてみましたが最後は自分にとってその生活のどちらが多いかというところになると思います。常会や消防団、役員や地域行事についてもう少し理解いただけたら住みやすいというのが本音です。(地方のすみっこ)
14、ブランド品を持っていたら、ねたみ。「子ども持って一人前」など、世界が狭すぎる。UIターンを邪魔する思考、やめましょう。
15、島根の山側で育ちました。今は亡き祖父がとても男尊女卑な雰囲気をまとった人で「女は汚いから最後に風呂入れ」と言われたときは「えー!」と思いました。祖母、母、姉の耳に入らないといいな、と思ったことを覚えています。数十年後、出産した直後に、祖父のことをふと思い出し「わからんでもないな~」と思いつつも、「いやいや、男の人だってみんな女の体の中から出てきたんだぞー!!」と、新生児を抱っこしながら1人憤慨していました(笑)。近所のおじさんにも「妊娠は病気じゃないんだからヒーヒー言うな」などと言われ、モヤモヤしたこともある田舎ですが、先日帰省したときに軽トラに乗ったまま会話をしているのんびりしたおじちゃんたちを見て、都会では見られない光景にホッコリしました。仲良く暮らせるといいなぁとシンプルに思いました。(コハママ)

16、町内会って必要? 今でも月末になると集会所や各家庭を順番に町内の人が集まって、「町内費」とやらを集金する。今やスマホで支払いができる時代にわざわざ集まる必要があるの? 婦人会も同じ。昔は女性が家にいたから集まりも必要だったかもしれないが、今ではほとんどの人が仕事し、家事、育児をしていて学校の役員などをしている人もいる。子どもの塾やスポーツクラブの送迎もある。忙しい中でわざわざ婦人会で集まる必要が分からない。
17、出雲には「出雲時間」と言うものがある。今ではこの言葉さえも聞かなくなったが、以前は集まりがあるたび、集合時間より1時間は遅れて人が集まって来たものだ。その分、お開きの時間も遅くなる。朝早く仕事に出なければならない者にとってはこの「出雲時間」は本当に煩わしいもの。
18、大学4年間以外はずっと地元です。煩わしいと思ったことはありません。20代前半から自治会行事(常会、獅子舞、消防団など)に参加しています。率直に言って楽しいです。さまざまな年代のさまざまな職業、考え方の人と出会えるのが魅力的です。ですが、地域性はあります。途中から加わった方にとっては、入りにくい世界かもしれません。周りは変えられないし、人間関係はどこでもあるので、その地域で生きていくために自分の考え方をどこまで柔軟にしていけるのか。それに尽きると思います。(保育士父ちゃん)
19、地方暮らしの魅力は、近所同士の助け合いだと思います。高校時代、遅刻しそうな時、隣の家の人に車で送ってもらいました。最近では、隣の家の人を病院に車で送迎しました。これらは、近所同士の風通しが良いからできると思います。(やっこ)
20、変化についていけない、今までがそうだから、このままでいい、という人たちが多いので、息苦しいです。人の価値観は無視、自分の価値観を押し付ける。そんなところに若い人たちが残るでしょうか? なぜ都会を目指して行くのか、じっくり考えている人はどのくらいいるのでしょうか? 自分たちの子どもは都会に住まわせておいて、残っている若い人たちに、自分たちの価値観を押し付けるのはどうなんでしょうか? 若い人から慕われる人は、きちんと向き合い、じっくり話を聞いてくれる人だと思います。自分たちにも若い時があったと思うのに。リスペクトできる人がいないのはとても、残念です。(ねずみおとこ)
21、松江市に住んで子育てして、もうすぐ20年になります。最初は、雨が多く憂鬱(ゆううつ)でした。ずっとこの地区に住んで育った方は排他的で、今でもなじめません。しかし、地区の行事の多さ、ボランティア精神、皆さんの協力体勢、地元の方たちの熱意で、子どもたちを育ててもらえているのを感謝しています。私の地元には、子ども会もありません。(子宝)
22、長女として生まれ、「跡を継ぐように」と子どもの頃から育てられ、そうなのだと決めて生きていました。その窮屈さから反抗的になり、お見合いも断り続け、結局40歳前で恋愛結婚を選びました。主人のプロポーズの「2人で両家を見ていこう」との言葉で結婚を決めました。今の時代は、そこまで言われなくなったのかな、とは思いますが、親になってわかることもあります。あの頃、親に心配をかけていたなぁと思う反面、自分の子には負担をかけず伸び伸びと自由に、そして居心地の良いところで生きてほしいと思っています。それが私たちと同じ家、近くであるなら「生きること」を助け合いながらできる。親としてとても幸せと思います。(匿名希望)
23、実家を離れていても「誰かがいつも見ている」という気がします。進学、就職、結婚、出産などの節目、節目を近所の人などに知られていて、いつのまにか歪曲(わいきょく)されていたことがあります。実家に帰省したとき、自分の親が話したのでしょうが、その情報が間違っていて、「子どもが○年目にできんさったんでしょ?」といわれ、ぞっとしました。やっぱり煩わしいところは多々あり、一度実家を離れたい、田舎を出てみたいというのは、普通にあってよいことだと私は思います。よそを見て、またUターンしてもらえると、ベストだと思います。(どろん)
24、確かに、若いうちはプライベートなことをあれこれ言われるのは煩わしいと感じますよね。でも、言っている方は他意はなく、意見として聞きおけばよいことです。年長者は保守的になりがちだし、地域に誇りを持つ人が意外と少ないと思います。このままでは、若い人は嫌気がさすのはよく分かります。でも、逆に今の考え方を柔らかく伝えていただけたらと思います。わが家の20代の子どもたちも、年寄りとの意見の相違はありますが、そういう時代を生き抜いてきたことは理解していると思います。それ以外は、若い世代も地方が住みやすいと感じているようです。
25、島根はド田舎。都会に憧れを持つのは当然。女の子が一度都会に出てしまえば、そこで出会った人と結婚し、都会に住み着いてしまう。島根には若者が永住したいと思えるような魅力が全くない。デートで行く場所も限られ、小さな子どもがいる家庭では連休になると子どもを連れて行ける場所がない。だから連休には皆、県外へ遊びに行く。県はそこに気が付くべきだと思う。若者や小さな子どもたちが楽しいと思える場所やイベントを増やすべき。また県外に出なければ学べない大学、専門学校も県内にどんどん増やすべき。県の担当者を若返りさせるのも、ひとつの案かもしれない。
26、30代男性です。子どもの時は分かりませんでしたが、家長になると親族からの干渉を感じるようになりました。ただ、田舎で生活している以上、折り合いをつけて生きていくしかありません。(南無どんどん)
記者雑感 古い価値観に「?」 穏便に済ませたい場面も
松江市で生まれ、中学時代に米国、大学時代に東京都に住みました。県外や海外で生まれ育った友人ができると、視野が広がり、これまで疑問を抱かなかった古い価値観を「?」と感じる場面が増えたような気がします。
例えば「女の子はお手伝い」「男の子は泣くな」と、子ども時代に言われました。結婚・出産後には、家事と育児に専念するほうがいいといった助言に何度か出合いました。女児を出産すると「次は男の子(跡継ぎ)を産まんと」、男児を出産すると女児のとき以上に親族に喜ばれた印象があり、心底戸惑いました…。その時に反発できればいいのでしょうが、相手によっては穏便に済ませたい気持ちが勝ってしまい、何も言えませんでした。
性別で役割や振る舞いを決めつけることをはじめ、昔の「常識」を逸脱した人やものごとを受け入れないのは、人権侵害の側面もあります。多様性や自由を認め合いつつ、つながりも維持できる。そんな地域は、誰にとっても魅力的で暮らしやすいのだと思います。
(担当記者)
次回のテーマは「忘れられない言葉」です。誰かに言われて、大切にしている言葉はありませんか? 家族や友人からの温かな励まし、子どものユニークな発言などは心に残ります。反対に何げない一言に傷ついたり、傷つけたりすることもありますね。エピソードを教えてください。
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