東京・日本武道館で安倍晋三元首相の国葬が執り行われた27日、山陰両県は朝からしとしとと雨が降った。松江市内中原町の自民党島根県連があるビル内に献花台が設けられ、市民が白、青、ピンクの花束を手向け、記帳台で名前を記した。

 午後2時。国葬が始まる頃には雨が上がり、花束が並んだ台の前で、市内在住の林由紀子さん(68)も手を合わせた。「安倍元首相は日本を守ってくれていた」。憲政史上最長の8年8カ月にわたる在任中の業績にもっと目を向けないといけないと、その死を悲しみながら。

 献花や記帳に訪れる人はその後も続いた。両県各地でも、テレビを通じて追悼し、静かに手を合わせる人たちがいた。

 ただ、国葬決定の経緯の不透明さや在任中の政権運営を巡る批判、旧統一教会を巡る問題などから、国を挙げた追悼ムードとはほど遠く、関心がないという人や街頭では抗議活動も。二分された世論を反映し、複雑な思いが交錯する一日となった。

 27日午前7時半。雨の中、松江市殿町の島根県庁前の掲揚台には...