料理と食べることが何より好きな2匹の野ねずみ。森で大きな卵を見つけた。カステラを作ることにしたものの大きくて運べない。そこでフライパンを持ってきて、その場で料理を始めると、においに誘われた森の動物たちが集まってきて…▼80歳で先月亡くなった絵本画家、山脇百合子さんの代表作『ぐりとぐら』。1963年に発表された。素朴で楽しげな絵が人気を集め、シリーズの関連書籍は累計2150万部のロングセラーという。子どもの頃、そして親になってからは読み聞かせで、世話になった人も多いだろう▼わが家でも来月20歳を迎える娘が幼い頃に大好きで、物語の冒頭や「やまわきゆりこ」の作者名を暗唱していた。ただ読み聞かせをしていたのは妻。仕事で帰りが遅かった当方が絵本を手にしたのは数えるほど。決していい父親ではなかった、と自戒している▼妻の産休期間中に夫が取得できる「産後パパ育休」(男性版産休)制度が今月導入された。子どもの誕生から8週間以内に育児休業を計4週まで2回に分けて取れるなど、柔軟に利用できるのが特徴▼とはいえ日本商工会議所の調査によると、対応が取れている中小企業は5割弱ほど。「代替要員が確保できない」のが主な理由だが、事故や病気による欠員と違い、準備の猶予はあるはず。管理職は山脇さんの絵本を読み返し、自らの育児参加を顧みる必要がありそうだ。(健)