参院選の「1票の格差」訴訟の判決を受け、東京高裁前で「違憲状態」と書かれた紙を掲げる原告側の弁護士ら=18日午前
参院選の「1票の格差」訴訟の判決を受け、東京高裁前で「違憲状態」と書かれた紙を掲げる原告側の弁護士ら=18日午前

 国会で停滞する議論に対する司法からのしった激励と受け止めた。7月の参院選を巡る「1票の格差」訴訟で、大阪、東京高裁で「違憲状態」の判決が続いたからだ。格差是正に向けた国会の姿勢を疑問視する指摘も目立った▼2016年の前々回選と19年の前回選は最高裁が「合憲」と判断。16年は鳥取、島根など4県で合区を導入し、19年は定数増で格差3倍程度と帳尻を合わせた▼今回の格差は最大3・03倍で、前回からやや拡大したものの、前回合憲判決だった大阪、東京高裁で違憲状態に。合区導入時に改正公選法の付則で約束した「選挙制度の抜本的な見直し」は、7年たってもなお果たされていない▼潮目が変わるかどうか注目したが、一昨日の名古屋高裁に続き、昨日の広島高裁松江支部は「格差の是正を指向する姿勢が失われるに至ったと直ちに断ずることはできない」として合憲と判断。最高裁の統一判断に向け、各地の判決が続く▼とはいえ、選挙制度改革が待ったなしの状況は変わらない。次期参院選まで議論できるのは2年を切り、合区解消に向かうかどうかも正念場を迎える。折しも国会では衆院小選挙区定数「10増10減」の関連法案が提出された。合区対象県の国会議員は「『地方の声が届かなくなる』という危機感が衆院側に広がる」と期待を寄せる。ハードルは高いが、この機を逃すと合区固定化は避けられそうにない。(吏)