広島県府中町で行われたパブリックビューイングで、日本の勝ち越しゴールを喜ぶ人たち=2日早朝
広島県府中町で行われたパブリックビューイングで、日本の勝ち越しゴールを喜ぶ人たち=2日早朝

 明け方からテレビの前に陣取り、ドキドキ、ハラハラしながら声援を送った。サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本の決勝トーナメント進出が決まった。世界ランキング7位のスペインを2-1で撃破。自力でE組を1位通過した▼1次リーグの突破は2大会連続4度目。前回ロシア大会では勝ち点や得失点差で並び、警告や退場を換算する「フェアプレーポイント」差での進出だったが、今回は強豪ドイツ、スペインを破っての見事な16強入り。今度こそ悲願の8強入りを果たしてほしい▼この結果を喜んでいるのは、支持率が低迷し、苦境に立つ岸田文雄首相も同じか。国民の一人としてだけではなく、W杯での日本の活躍に世間の関心が集中すれば、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題や「政治とカネ」に絡む疑惑、物価高騰などへの批判や不満は、相対的に薄まる▼競技は違うが、アメリカンフットボールの伝説のヘッドコーチ、ニュート・ロックニー(1888~1931年)は、こんな名言を残した。「私は11人のベストな選手とではなく、11人でベストとなるチームでプレーしているのだ」▼今の岸田政権に一番欠けている発想なのかもしれない。それに比べ、ドイツ戦の歴史的勝利の後、森保一監督は、スタッフまで含めた総合力、総力戦を強調していた。その考え方を貫けば、必ず道は開けるはずだ。(己)