昔から「一富士、二鷹(たか)、三茄子(なすび)」といわれるが、縁起の良い初夢をご覧になった方もおられるだろう。この三つ、『四季ことわざ辞典』(槌田満文著)によると、日本一の高い山に、空高く飛ぶ鳥、値段の高い初茄子と「高い」が共通しているそうだ▼初夢と同様、正月のこの時期になると話題になるのが「未来予測」。今年1年だけでなく、もう少し先まで見通したいという気持ちは、いつの時代も変わらないのだろう。そこで令和2年版の科学技術白書で見つけた2040年の姿の一端を紹介すると-▼空飛ぶ車・ドローン(2033年)にレベル5の完全自動運転(34年)や無人運航商船(31年)。あくまで予測だが、カッコ内は実現時期だという。まだある。あらゆる言語に対応した即時自動通訳(29年)に加え、動物との意思疎通を可能にするポータブル会話装置(34年)も夢ではなくなるとか▼もっと知りたい方は、文部科学省のホームページをどうぞ。農業ロボット(29年)や臓器の3Dプリント(34年)も出てくるようだ▼科学技術の進歩は目まぐるしいし、その多くが便利さや快適さをもたらした。これからもそうなのだろうが、全ての書籍が電子ブックとなる(紙による本の消滅=32年)との予測には、やはり複雑な思いがする。本だけでなく新聞や年賀状、カレンダーも同じだ。便利さだけで「紙の文化」を、そう簡単に捨てきれるのかどうか。(己)