昭和期の平田を写真で伝える田中久雄さん=出雲市平田町、平田本陣記念館
昭和期の平田を写真で伝える田中久雄さん=出雲市平田町、平田本陣記念館

 【出雲】出雲市平田町で写真館を営む田中久雄さん(85)の写真展「アーカイブ平田」の第1弾が、同市平田町の平田本陣記念館で開かれている。師である父の教えの「外に出て社会を写せ」に背中を押されて撮り続けた平田の人々の営みが分かる作品を並べ、町の変遷を伝える。31日まで。無料。火曜日は休館。

 田中さんは、1930年創業の「アタゴ写真館」の会長。約70年にわたって地元を記録撮影している。

 記念館での作品展は2008年以来。「古き良き平田を感じ、郷土愛を深めてほしい」と同館が開く。

 会場には、1章「妻入土蔵の街並~昭和50年頃を中心に」(4月29日終了)に続き、出品作を一部入れ替えた2章「水辺の風景-明治・大正・昭和」として、資料パネルやアタゴ写真館所蔵写真を含む約50点を展示。再開発で姿を変える前の平田の様子を伝える。

 1950、60年代ごろとされる平田地域中心部の水辺の写真では、冠水した道を歩むおかっぱ頭の女児、唐傘をさして四つ手網漁に見入る人々を捉えた一枚などが時代を物語る。

 田中さんは「今しか撮れないもの、その時の平田の薫りが伝わるもの、人間の血の通ったものを撮影してきた」と話す。 (松本稔史)