〝五輪〟に足りないが、手のひらにのせた三つの輪の黄緑色のリボンが心を和ませてくれる。松江市内で先日あったハンセン病問題の理解促進などを目的とした会合に出席すると、全員の机上に置かれていた▼「シトラスリボン」と呼ばれ、大型連休中に島根県立大出雲キャンパスの学生30人を中心に作ったという。プレゼントしてくれた出雲保健所の中本稔所長は「このリボンの趣旨を広めてほしい」と願う▼新型コロナウイルスの感染者や医療関係者らを差別しない「シトラスリボンプロジェクト」の一環。愛媛県の有志が始め、徐々に全国へ広がっている。三つの輪は地域・家庭・職場(学校)を表すという▼特産の柑橘(かんきつ)をイメージしたシトラスカラーのリボンを身に着けて当事者に寄り添い、「ただいま」「おかえり」と言い合える場所をつくるのが狙い。そんな場所にいれば、誰もが安心して検査を受けることができ、ひいては感染拡大の防止につながる。感染者への差別や偏見が生まれることもないだろう。冒頭のハンセン病問題にも生かしたい取り組みだ▼翻って「平和の祭典」であるはずの〝五つの輪〟の方は、公道での実施を見合わす自治体が相次ぐ中で聖火リレーが進み、島根県もきょうスタートする。コロナ禍で国民の盛り上がりが欠ける一方、愛媛で火が付いた「三つの輪」の活動はスピードアップして全国にリレーしていきたい。(健)