シロチョウザメ(上)とヒオウギ貝(左下)=東京都品川区のクレイジーキッチン
シロチョウザメ(上)とヒオウギ貝(左下)=東京都品川区のクレイジーキッチン
廃棄されてきたヒオウギ貝やシロチョウザメを使った料理の盛り合わせ「サステナブルコレクション」=東京都品川区のクレイジーキッチン
廃棄されてきたヒオウギ貝やシロチョウザメを使った料理の盛り合わせ「サステナブルコレクション」=東京都品川区のクレイジーキッチン
役割を終えた横断幕を再利用し、バッグに仕立てた「はたらくトート」=東京都千代田区の「首都高速道路」
役割を終えた横断幕を再利用し、バッグに仕立てた「はたらくトート」=東京都千代田区の「首都高速道路」
跳び箱をテーブルと椅子に、ゴルフパターをハンガーに変身させたアップサイクル品=前橋市の「REMARKET」
跳び箱をテーブルと椅子に、ゴルフパターをハンガーに変身させたアップサイクル品=前橋市の「REMARKET」
シロチョウザメ(上)とヒオウギ貝(左下)=東京都品川区のクレイジーキッチン
廃棄されてきたヒオウギ貝やシロチョウザメを使った料理の盛り合わせ「サステナブルコレクション」=東京都品川区のクレイジーキッチン
役割を終えた横断幕を再利用し、バッグに仕立てた「はたらくトート」=東京都千代田区の「首都高速道路」
跳び箱をテーブルと椅子に、ゴルフパターをハンガーに変身させたアップサイクル品=前橋市の「REMARKET」

 廃棄されていた物や使われなくなった物を、素材はそのままに新しい価値を付け、再び社会に流通させる「アップサイクル」への関心が集まっている。国連が掲げた持続可能な開発目標(SDGs)を背景に、循環型社会を目指し、既存の資源を有効活用する企業が増え、社会の意識も高まっているようだ。

 パーティー料理などのケータリングを手掛ける「クレイジーキッチン」(東京)は、真珠養殖の副産物ヒオウギ貝や、キャビアを採取後に捨てられてきたシロチョウザメの魚肉を、食材として積極的に活用。サラダや揚げ物などに調理した6品の詰め合わせ「サステナブルコレクション」を、2019年から首都圏を中心に販売している。

 木箱の中の料理は貝などの色で華やか。まるで宝箱だ。社長の土屋杏理さん(37)は「環境問題や食品ロスに関心を持ってもらい、自身が行動するきっかけにつながれば」と期待を寄せる。

 公共の場にある意外な物がバッグに生まれ変わるケースも。安全対策や工事期間などを知らせる高速道路上の横断幕だ。「首都高速道路」(東京)は、掲載期間が終わった横断幕を洗浄・裁断・縫製し「はたらくトート」として10年から販売。

 年間に廃棄される横断幕約800枚のうち、約100枚を使って手作りしている。撥水(はっすい)性があり丈夫、軽量で好評という。同社事業開発部の担当者は「どれも個性があって一点物です。老若男女問わず人気が高い。新商品も検討中です」。

 跳び箱を上下半分に分け、片方はひっくり返して天板を付けてテーブル、もう片方は椅子に。ゴルフパターを束ねて洋服を掛けるハンガーに…。産業廃棄物処分業「ナカダイ」(東京)などは、ユニークな発想で「廃棄物」から新たな価値を生む受注生産に取り組む。

 同社の遊び心にあふれた商品などを販売する「REMARKET(リマーケット)」(前橋市)店長の小川敦子さん(36)は「物を安易に捨てるのでなく、アップサイクルの商品に触れ、身の回りの物との付き合い方を考える機会にしてほしい」と語る。

 立命館アジア太平洋大の須藤智徳教授(環境経済学)は「アップサイクルの意義は、創意工夫で価値のない物に新たな価値を加えること。市場には出回らない産業用品や古い着物などのアップサイクルへの関心が近年高まっている。企業だけでなく、誰もがアップサイクルしやすい商品の開発や販売の普及にも期待したい」と話している。