出雲空港で欠航した羽田便の払い戻しの列を作る人たち=24日午前、出雲市斐川町沖洲
出雲空港で欠航した羽田便の払い戻しの列を作る人たち=24日午前、出雲市斐川町沖洲

 桜が見頃を迎え、人の動きも活発化してきた。先週末、会合で東京へ向かうため出雲空港に足を運んだ。春休みの影響もあるのだろう。待合室内はぎっしり。コロナ禍のマスク着用規制も緩和されて、日常生活も〝平常運転〟が見えてきた▼とはいえ〝異変〟も感じた。出発の半月前、定宿にしている築地のビジネスホテルをネット予約しようとすると、出てきた金額は1泊素泊まりで1万6千円。5カ月前は朝食付きで7千円だったはずだが…▼間違いかと思い、再度検索しても変わらない。同クラスの他のホテルを探しても、都心は以前の2~3倍の高額。何とか1万円弱のホテルを見つけて予約した▼一体何が起きているのか-。料金高騰の要因は、政府の観光需要喚起策による人出の増加と訪日客の急増。ただ、それだけではないようだ。コロナによる経営難で多くのホテルが閉鎖。営業するホテルも従業員数を縮小し、人手不足で清掃などに手が回らず、客室の供給数を制限しているため、収益確保へ料金を上げざるを得ないという事情のようだ。3年余りに及ぶコロナ禍が需給のバランスを崩してしまった。それは東京の宿泊業だけに限るまい▼すったもんだの末に宿泊予約したが、肝心な航空機が視界不良で欠航し、急いで新聞社へ引き返してオンラインで会合に参加する羽目に。コロナ禍で普及した技術に、皮肉にも救われる形になった。(健)