各地のブースが並ぶ、ふるさと回帰支援センター=東京都千代田区
各地のブースが並ぶ、ふるさと回帰支援センター=東京都千代田区

 地方都市(市街地)への移住を希望する傾向が強まっている。都内に44都道府県の移住相談ブースを構えるNPO法人「ふるさと回帰支援センター」によると、2022年の相談(複数回答)で地方都市(市街地)は73・6%、農村は23・8%が希望した▼住みたい物件もマンションやアパートが伸び、空き家を含む中古一戸建てが減少しているという。地方の中でも、市街地が移住先に選ばれると、県内での都市部と山間部の人口格差が大きくなる▼その余波は、議員定数の問題にも表れている。島根県議会が21年に定数見直しの議論に入った際、国勢調査に基づき、出雲選挙区(定数9)を1増する一方、益田選挙区(同3)が1減になる案も検討された▼この案は総定数(37)を維持した場合の試算で、実際には総定数を1減にし、益田を減らすのみで決着した。島根県は国政で「1票の格差」問題に端を発した参院選合区選挙区を抱える。取材を進める中、人口格差を理由に議員定数を都市部で増やし、山間部で減らすのは「国と同じようなことをしているのではないか」と悩む声を聞いた▼「一極集中」は東京と地方だけの構図ではなく、山陰両県の課題としても当てはまる。いかに県内で分散型の地域づくりを進めていくのか。人口比だけを基準としない議員定数の在り方とは何か-。きょう告示される島根、鳥取両県議選で候補者は考えを示してほしい。(吏)