2017年11月の日韓知事会議で発言する鳥取県平井伸治知事=韓国・釜山
2017年11月の日韓知事会議で発言する鳥取県平井伸治知事=韓国・釜山

 山陰両県知事の公務を記す本紙の「知事室」。今年1月27日の平井伸治鳥取県知事の欄には「韓国市道知事協議会の李(イ)〓雨(チョル)会長らと面談」とあった▼韓国市道知事協議会は日本の全国知事会に相当。つまり、両国の知事会トップ同士の会合だ。在日韓国人向けの「民団新聞」の報道によると、日韓関係悪化や新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2017年以来開かれていなかった両国の「知事会議」開催で合意した。今年、合意通り開かれれば6年ぶり7度目となる▼李氏は18年7月から慶(キョン)尚(サン)北(プク)道(ト)の知事を務めている。関係者によると、日本の地方自治体との国際交流推進に積極的だという。政治的には尹(ユン)錫(ソン)悦(ニョル)大統領に近いとされ、地方自治レベルでも日韓関係改善の流れが引き継がれる期待も膨らむ▼これで、05年の「竹島の日」制定以来、途絶えた島根県と慶尚北道との友好交流関係が復活すると考えるのは早計だ。だが、日韓は交戦しているわけでも、国交を断絶しているわけでもない。領土問題の解決へ互いに主張することと、自治体の国際交流は両立し得る▼島根県と慶尚北道という単独の交流再開が難しければ、隣接地域を巻き込んだ「グループ交流」でもいい。相互派遣された自治体の職員や教員らが隣国への見識を深め、経験を後輩に伝えていく良き伝統の復活が望まれる。次の日韓知事会議が、局面打開につながることを期待する。(万)