新型コロナウイルスのワクチン接種でほとんどの自治体が電話とインターネットによる予約制を敷き、各地で混乱が起きている。ネットは使えない、電話もつながらない状態で、接種を希望する高齢者がなすすべをなくし、役所や医院の窓口に直接駆け込むケースも多い▼基礎疾患を持つ筆者は先週、松江市内にある二つの医療機関の待合室にいた。窓口では次々と訪れる接種希望者と鳴りやまない電話の応対が続き、医療事務の人たちにかかる負荷を目の当たりにした▼変異株が猛威を振るい、接種のメリットを考える人が多くなった。早く流行を鎮めたい政府も「1日100万回」の目標を掲げて自衛隊の医官や看護官のほか、歯科医の手も借りて接種のスピードを上げる▼それならば、入り口にいる大勢の人が一度に手を挙げ、その希望をまとめるという非効率極まりないシステムをすぐにでも見直すべきではないか。選挙のように時間と場所を決めてはがきを送れば、このご時世、ほとんどの人が都合をつけて来ることだろう▼併せて、副反応についてスムーズな情報開示が必要だ。今まさに「ワクチン接種」の流れが大河のようになっている。それ自体は否定しないが「副反応」という流れに逆らう事象が潜る懸念がある。ワクチンを巡り、いまだに陰謀論や懐疑論を唱える人がいる。正確な情報開示が社会不安の払拭(ふっしょく)と接種の判断材料になる。(釜)