101年前のきょう、6月10日に生まれ、米・ハリウッド映画界の興隆期を支えた伝説の女優ジュディ・ガーランドは、華麗なる活躍の裏で、そのプライベートを彼女の母親や、専属契約先だったメトロ・ゴールドウィン・メイヤーの創設者に徹底管理された。覚醒剤の摂取による強制的なダイエットを命じられ、最期は滞在先のバスルームで、睡眠薬の過剰摂取で亡くなった。47歳の生涯だった▼現代の物差しでは「管理」という言葉では済まない。ミュージカル『オズの魔法使』(1939年)で歌った、かの有名な「Over The Rainbow(虹の彼方(かなた)に)」は、背景を思うと、切なく聞こえる▼<虹のむこうのどこか 空はどこも青くて あなたが切望する夢が 本当に叶(かな)うの>。夢の代償があまりにも大き過ぎて、とても想像がつかない▼彼女の裏表を描いた映画が4年前に公開されて、ジュディを演じたレネー・ゼルウィガーがアカデミー賞主演女優賞に選ばれた。負の歴史も臆せずエンターテインメントにしてしまう彼我の違いを感じる▼日本では、夢の実現と引き換えに「育ての親」から性被害を受けた、と訴える元ジャニーズJr.の青年が、親以外からの虐待も法に問える児童虐待防止法改正を求めて声を上げた。当事者は鬼籍にある。だが、国政調査権を持つ国会が、事実認定から目を背けて門前払いというわけにはいくまい。(万)