マイナンバー制度の広報キャラクター「マイナちゃん」と並んでPRする甘利明社会保障・税一体改革相=2015年5月、東京都千代田区
マイナンバー制度の広報キャラクター「マイナちゃん」と並んでPRする甘利明社会保障・税一体改革相=2015年5月、東京都千代田区

 <私以外、私じゃないの~。当たり前だけどね>。当時の担当大臣が、バンド「ゲスの極み乙女。」のヒット曲の替え歌で威勢よくPRしたマイナンバーカード。あれから8年がたち、登録を巡るミスの連発で大混乱だ▼カードの交付率は70%程度まで上がったが、国民の信頼度は急降下。カードと公金受取口座のひも付けで他人名義の口座を登録したり、マイナ保険証に別人の医療情報をひも付けしたり。<私以外も、私じゃないの?>と心配になってしまう。今後適正に運用できるのか、マイナンバー制度への不安は膨らむばかり▼最大2万円分のマイナポイントに釣られたのは否定できないが、昨年12月に申請し、今年4月にカードを受け取った。健康保険証の機能だけ付けた。ただマイナポイントの取得にも四苦八苦。高齢者にとっては厄介だ、というのが実感だ▼4月末時点の交付率は島根県72・6%、鳥取県74・6%。2日にマイナンバー法など改正関連法が成立し、来年秋に健康保険証が廃止されてマイナカードに一本化となる。運転免許証も来年度末までに一体化する方針という▼カードの普及や用途拡大に向け、ミスやトラブルなく進められる体制の見直しが大切だ。いま一度、制度自体の目的について国民の理解を促す必要もあるだろう。急速に進むデジタル社会。取り残される人や地域が多いようだと新たな格差が生まれるだけだ。(彦)