プロ野球の近鉄や日本ハムなどの監督を務めた野球解説者の梨田昌孝さん(69)=浜田市出身=が20日、浜田市内で講演し、選手としては結果を残すため型にはまらない打撃フォームを、指導者としては選手の長所を考える大切さを説いた。
梨田さんは浜田高校を卒業後、1972年に当時の近鉄バファローズに入団した。打撃ではバットのグリップの位置が下がる癖があり、あえてさらにへその位置まで下げ、両腕を揺らしながら余計な力を入れない独特の打法を考案。そこから打率が上がったとし「プロは形より成績。自分に合ったフォームを常に追求した」と振り返った。
2008年からの日本ハム監督時代では、ゴールデングラブ賞に7度選出された当時の糸井嘉男選手が、試合でサインを理解できなかったことを挙げ「糸井には外国人選手用の簡単なサインを用いた。おかげで持ち前の高い身体能力を生かしたプレーに集中できた」と説明。選手個々の能力ややる気を引き出すため知恵を絞ることはビジネスでも同じだと述べた。
講演は島根県法人会連合会(松江市母衣町)が主催し、企業経営者ら約90人が聴いた。石油販売業のハゼヤマ(浜田市長沢町)の大賀誠一社長(66)は「選手の能力を見いだす大切さを教わった。仕事でも生かしたい」と話した。 (宮廻裕樹)