水都・松江のにぎわい創出に火を付けることができるのか。松江水郷祭花火大会があす開幕する。6日を含む2日間に打ち上げる花火は計2万発。昨年を6500発も上回る過去最大のスケールだ▼ところが、有料観覧席の売れ行きが芳しくない。ペア席や団体席は売り切れが出ている半面、席数が多い個人席の余りが目立つようだ。価格は最低でも1人5500円。物価高騰の折、市民からは高根の花ならぬ〝高値の花火〟とぼやきも▼昨年は2635席だった有料観覧席は、2日間で計2万6千席と10倍に増えた。規模拡大で大会の魅力を高めて、観光客誘致を図るのが狙いだ。地域活性化は望むところ。とはいえ警備費も膨らみ、思いのほか高値になってしまったという▼本紙は事業計画が決まる前の4月、有料席拡大についてオピニオン面の「こだまフォーラム」で意見を募集した。これまで無料だった場所の有料化に批判が集まると思いきや、投稿が少なく拍子抜けした。地域課題への関心低下が気になる▼一昨日、日本三大花火の一つ、長岡まつり大花火大会(新潟県長岡市)の生中継を見た。夜空に咲き誇る迫力満点の花火に、ぜひとも現地で見たいと思った。松江水郷祭の主催者は日本三大花火と並ぶ大会を目指すという。5500円払ってでも、いい席で見る価値がある-。そう納得できるファンを増やすことが、にぎわい創出の鍵を握る。(健)