『13歳からのアンガーマネジメント』ほか
『13歳からのアンガーマネジメント』ほか

 きょうから10月。出雲(いずも)地方では神在月(かみありづき)といい、全国から神さまがお集まりになります。そこで今回は神さまにちなんで、お守りになりそうな本を3冊(さつ)紹介(しょうかい)します。

 まず、『いえるよ!NO わたしらしく生きるための大切なことば』(ジェニー・シモンズ・文、クリスティン・ソラ・絵、上田(うえだ)勢子(せいこ)、堀切(ほりきり)リエ・訳(やく)、大月(おおつき)書店)です。

 「NO」は「だめ」や「いや」といった否定(ひてい)の言葉なので、伝えたら相手が気を悪くするかもしれないと、我慢(がまん)していませんか。でも、本当の気持ちにふたをして、がっかりしたり、傷(きず)ついたりするのは自分です。

 本当の気持ちを隠(かく)す必要はありません。断(ことわ)って誰(だれ)かを落胆(らくたん)させたとしても、あなたのせいではないのです。断るときは伝え方を考えて、丁寧(ていねい)に、しっかり伝えましょう。誰かに傷つけられそうになったら、大きな声で叫(さけ)んでください。断るのが苦手(にがて)な人は、この本で「NO」という練習ができますよ。

 みなさんは、イライラしてつい八つ当たりした、または怒(おこ)るのが苦手で、嫌(いや)なことを我慢したという経験(けいけん)がありませんか。そんな人におすすめなのが、『13歳(さい)からのアンガーマネジメント』(松井(まつい)晴香(はるか)・著(ちょ)、合同出版(しゅっぱん))です。

 アンガーマネジメントは、怒(いか)りと上手(じょうず)に付き合うための心理トレーニングです。怒るのは悪いことではありません。怒りをどう伝えるか、いつ伝えるか。自分で決められるように、この本でトレーニングすれば大丈夫(だいじょうぶ)です。

 この本に、怒るときは「人を傷つけない、自分を傷つけない、ものを壊(こわ)さない」の三つのルールが書かれています。「傷つける」は、殴(なぐ)る、蹴(け)るなどの暴力(ぼうりょく)だけでなく、悪口や嫌(いや)みも含(ふく)まれます。また、自分を責(せ)める、否定(ひてい)するなど、自分を傷つけるのもダメです。

 人が怒るのは、リクエストを相手に伝えるためだそうですが、望みを上手に伝えるには言葉選びが大切になりますよね。

 自分の気持ちを表す言葉をたくさん知るには、『ことばアソート 短歌の詰(つ)め合わせ』(東(ひがし)直子(なおこ)・文、アリス館)がおすすめです。短歌には誰かの心が詰まっているので、気持ちを表すぴったりな言葉があるからです。

 でも、短歌はちょっと難(むずか)しそうだと思いましたか? いえいえ、少なくともこの本は、けっして難しくありません。かわいいや楽しいがたくさん詰まった本です。それでいて、短歌の決まりや、言葉の効果的(こうかてき)な使い方が分かる仕組みになっています。まるで魔法(まほう)のようですね!

 文を書いた東直子さんは、共感し、勇気づけられた一首(いっしゅ)を心にしまうと、心のお守りになるような気がすると書いています。それはきっと、短歌だけではなく本も同じです。

 本で気持ちを表す豊(ゆた)かな言葉にたくさん出合ってください。本で出合う言葉は、この先も大切な心のお守りになることでしょう。 (青山(あおやま)亜希子(あきこ)・松江(まつえ)市立第二中学校 学校司書)