みなさんの周りに、少し変だけどなんだか面白くて気になる人はいませんか。そんなちょっとおかしな人たちに出会える本を3冊(さつ)紹介(しょうかい)します。
まずは『紳士(しんし)とオバケ氏』(たかどのほうこ・著(ちょ)、飯野和好(いいのかずよし)・絵、フレーベル館・刊(かん))から。大きな町の真ん中の古い一軒家(いっけんや)にひとりで住んでいるのはマジノ・マジヒコ氏という、まじめすぎてちょっと変わったおかしな紳士。マジヒコ氏は毎日、きちんとした身なりをし、落ち着いて淡々(たんたん)と人と話します。そして決まった時間に起きて、決まった時間に寝(ね)るという規則(きそく)正しい生活を送っていました。
マジヒコ氏はある日、ひょんなことから真夜中に目を覚(さ)まし、昔からこの家に住んでいたという、とぼけたオバケに出会い、好きな本や映(えい)画(が)の話に夢中(むちゅう)になったり、チェスをして遊んだり、夜ふかしを楽しむようになります。
マジヒコ氏の幸せそうな姿(すがた)と心の変化から読む人に自分らしさと、素直(すなお)に楽しむことの大切さを気づかせてくれるでしょう。
2冊目は『うそつきのつき』(内田麟太郎(うちだりんたろう)・作、荒井良二(あらいりょうじ)・絵、文渓堂(ぶんけいどう)・刊)。
お月さまの顔をした絶対(ぜったい)に笑わない不思議なおじさんが、次々と出てくるダジャレの連発に平然としているというおかしな絵本です。
ダジャレを上回るおじさんの存在(そんざい)、ダジャレを聞いても笑わないというところが気になるし、かえって笑いをさそいます。
お月さまの顔をしたおじさんのとっておきのひみつの時間が最後のページで明らかになります。ちょっとおかしなおじさんと静かに笑えることば遊びの世界が楽しめます。
最後は『魔女(まじょ)のたまご』(マデライン・エドモンドソン・作、ケイ・シューロー・絵、掛川恭子(かけがわやすこ)・訳(やく)、あかね書房(しょぼう)・刊)。
何百歳(さい)にもなる、へそ曲がりのおばあさん魔女アガサは山のてっぺんにある古い鳥の巣に一人で住んでいました。友達をつくらず、夜が来るとほうきに乗って町に飛んで行き、人たちをこわがらせてやるのが仕事でした。
そんなアガサがある時、産(う)み落して逃(に)げてしまった鳥の卵(たまご)を自分の家の巣で温め育てることに。マジョドリと名をつけ、生まれたひなを世話するうちに、かけがえのない大切な家族として愛情(あいじょう)がめばえます。楽しいマジョドリと一緒(いっしょ)のくらし、そしてマジョドリの成長、独(ひと)り立ちの時。
物語はアガサとマジョドリとをハッピーエンドでしめくくってくれます。きっと読者を笑いと涙(なみだ)でそっと包み込(こ)んでくれることでしょう。
ちょっとおかしな人たちの不思議と魅力(みりょく)をぜひ楽しんでみてください。
(米子(よなご)市立図書館 課長 佐藤和子(さとうかずこ))