みなさんはどんな家に、どんな家族と暮(く)らしていますか。今日は絵本に出てくるいろいろな家や家族をのぞいてみましょう。
まずは『わたしのかぞく みんなのかぞく』(サラ・オレアリー・さく、チィン・レン・え、おおつかのりこ・やく、あかね書房(しょぼう))から。学校の先生に「家族のとっておきの話をみんなに聞かせてね」と言われた主人公の女の子は困(こま)ってしまいます。なぜなら、彼女の家族はみんなと違(ちが)うからです。
でも友達の話を聞くと、みんなの家族もそれぞれ違うということが分かります。たくさんの兄弟と暮らす子、離(はな)れて住む両親と一週間ずつ暮らす子、おばあちゃんと二人暮らしの子。みんな自分の家族のことを楽しそうに話してくれます。そして主人公は、自分の家族のことをみんなに語り始めます。
家族の形に「ふつう」なんてないけれど、みんなと違っているからこそ特別で、大切なのかもしれませんね。
ところでみなさんは、自分の名前の由(ゆ)来(らい)を聞いたことがありますか?『アルマの名前がながいわけ』(フアナ・マルティネス-ニール・作、宇野和美(うのかずみ)・訳(やく)、ゴブリン書房)の主人公の名前は、アルマ・ソフィア・エスペランサ・ホセ・プーラ・カンデラといいます。どうしてこんなに長い名前なのでしょうか。
パパはアルマに名前の由来を語ってくれました。ソフィアはおばあちゃんの名前、エスペランサはひいおばあちゃんの名前、ホセはおじいちゃんの名前というように、アルマの名前には家族の名前が含(ふく)まれていたのです。
おばあちゃんはこんな人、ひいおばあちゃんはこんな人。パパの語る家族はみんなすてきな人ばかり。アルマの名前には家族の歴史(れきし)がつまっていたのですね。では、「アルマ」という名前は、もともと誰(だれ)の名前だったのでしょう? 予想してから読んでみてください。
家族や名前がそれぞれ違うように、住んでいる家の形も違いますね。『とってもすてきなおうちです』(なかがわちひろ・文、高橋和枝(たかはしかずえ)・絵、アリス館)では、いろいろな生き物が自慢(じまん)のおうちを紹介(しょうかい)してくれます。
アリのおうちは部屋がたくさん、チョウのおうちは食べ物にもなる、クモのおうちはキラキラ光っている、ツバメのおうちは古くて味わい深い、ネコのおうちはすぐにご飯が出てくる。近くには静かな暮らしを邪魔(じゃま)するやつがいて、みんなちょっと困(こま)っています。それでもみんな口をそろえて言うのです、「とってもすてきなおうちです」って。
ところでこのおうち、みんな人間の家の周りにあるのです。みなさんの家の庭にも、生き物たちのすてきなおうちがあるかもしれませんよ。
家族、名前、そして家。みんな違っているけれど、それぞれの良さがあります。身近すぎて見過(す)ごしがちなこれらの良さを探してみませんか。
(島根県立図書館主任(しゅにん)司書 梶谷妙(かじたにたえ))