バスケットボール男子Bリーグ1部(B1)の島根スサノオマジックがいよいよ7日、ホームの松江市総合体育館で新シーズンの開幕戦を迎える。あのチャンピオンシップから半年が経過し、試合のない週末を寂しく思っていたファンも多いのではないか。新シーズンに挑むスサマジの見どころを紹介し、行方をズバリ予想する。スサマジの戦力は整った。悲願の「日本一」へ、階段を一歩ずつ着実に上る、楽しみいっぱいなシーズンになりそうだ。 (舟越幹洋)

 B1の東地区、中地区、西地区の各チームは昨シーズン終了後、選手の入れ替えがあった。いろいろな動きはあったが、新陣容をざっと見渡してみて、全チームの中で最も効果的な補強をして、安定した戦いを繰り広げそうなのがスサマジだ。

新加入のハッサン・マーティン

 理由の第一は主力選手がそっくり残留したこと。第二は課題だった相手チームのビッグセンター対策に、パワーがあり、経験豊富な新外国人、ハッサン・マーティンを獲得したこと。これによりゴール下周辺のオフェンス、ディフェンスの力が格段にアップする。第三は3点シュート力のある長身の日本人選手、晴山ケビンとワイリー光希スカイの獲得。ガードの大橋大空を含め、新戦力の3選手は競り合った試合でも出場して活躍できそうで、選手層がぐっと厚くなった。

 ■ライバル琉球は大黒柱欠く

 加えて、相手チームのマイナス要素を挙げるのは、やや気がひけるが、昨シーズンの上位チームでは選手の入れ替えが大きく、また、主力の外国人選手がけがをしていて、開幕に間に合わないチームがかなりいる。

 バスケットボールはオフェンス、ディフェンスともチームごとに多くの約束ごと(フォーメーション)がある。この約束ごとがチームの戦術になり、戦術が多く、きちんと遂行できるチームが勝つ。

 主力がけがをしていたり、選手の入れ替えがあったりすると、戦術を一からやり直したり、確認したりしなくてはならない。チームが振り出しに戻る感じだ。主力メンバーが残ったスサマジは昨シーズンまでの戦術に加えて、新しい戦術を上乗せし、引き出しを増やすことができ有利だ。

琉球のジャック・クーリー(共同)

 スサマジのライバルで昨年、チャンピオンシップを制した琉球ゴールデンキングスはチームの大黒柱で元NBA選手のジャック・クーリーがけがで開幕に間に合わない。クーリーの攻守での貢献は大きく、大黒柱を欠いた琉球は厳しい戦いになるとみる。

 スサマジは心配されたウイリアムス・ニカが、プレシーズンゲームや天皇杯で元気な姿を見せてくれた。無理をせず、少しずつならしながらになるだろうが、ディフェンス、リバウンド、チームプレーなどいろいろな面でニカの存在は心強い。

ウイリアムス・ニカ

 ■スタートダッシュ決めたい!

 ゲームスケジュールを見てみよう。開幕戦の相手は選手を大きく入れ替えたシーホース三河。元々、良い選手がそろっているので、楽な相手ではない。ホームの大声援を受け、開幕を連勝スタートにしたい。その後、秋田、B1新加入の佐賀、日本代表の馬場雄大が加入した長崎と続く。各チームとも油断はできないが、10月にある9試合で新加入した選手がチームに溶け込みながら、スタートダッシュを決め、勢いをつけたい。

 11月に入ると、川崎、琉球、千葉と昨季の上位チームとの連戦が待っている。スタートダッシュを決めて、11月の上位対決に臨みたい。開幕から3カ月、年内で各地区の上位と下位のチームがはっきりしてくるだろう。

 ■勝負どころは3月と4月

 レギュラーシーズンの勝負どころは来年の3月と4月。アルバルク東京、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、長崎ヴェルカ、広島ドラゴンフライズ(4試合)、琉球ゴールデンキングスと上位チームとのカードが組まれている。終盤戦に余裕をもって突入し、厳しい試合を通してレベルアップしながら、余力を残してチャンピオンシップ(CS)に挑みたい。CSは短期決戦で、勢いをつけたチームが勝ち上がる。そのためにはレギュラーシーズンの60試合で、チーム力を高めながら、選手層を厚くして、余裕のある試合運びをしたい。

プレシーズンゲームの広島戦で3点シュートを決める島根の安藤誓哉(右)=電光石火みよしパーク

 その余裕、余力がけがの予防にもつながる。近代バスケットは先のW杯でも見た通り、激しいディフェンスと速い攻撃が特徴。各チームが選手を入れ替えながら、コートに立つ選手はハードにプレーする。

 ■スサマジの選手層、ぐっと厚く

 スサマジはレギュラーの5人に昨年から加入した谷口大智と津山尚大、3ポイントが武器の北川弘、新加入の4人の12人でゲームを戦えれば、選手層はぐっと厚くなる。連戦の疲労度も少なくなるだろう。

晴山ケビン

 プレシーズンゲームや天皇杯を見て、晴山ケビンとワイリー光希スカイは、...