国産1号炉として華々しく誕生した島根原発1号機だったが、1973(昭和48)年の試運転早々にトラブルが相次いだ。

 核分裂反応を止める制御棒の製造ミスや原子炉内の振動計の故障が判明。中国電力からの一報が「無用の混乱を避けるため」「軽微な故障」との理由で遅れ、島根県と旧鹿島町が抗議する事態に至った。

 周辺海域では漁業に影響が及んだ。発電用タービンを回した後の蒸気を冷やす過程で温められた大量の水が、原発から海に放出され、水温差で海中にもやがかかる「うるみ現象」が発生。放出量は毎秒22~30トンに達し、箱メガネで海底をのぞき込んでサザエやウニを採るカナギ漁を直撃した。漁師から怒りが噴出し、...