「道の駅」が誕生して、今年で30年を迎えた。車を運転中のトイレ休憩や交通情報の収集はもちろん、地元の特産品や農作物などの販売も充実。遠方にドライブした際、土産物を物色するのも楽しみの一つだ。
全国道の駅連絡会のホームページによると、全国に現在1209駅もある。島根県は29、鳥取県は17。このうち「掛合の里」(雲南市)などと1993年4月22日に第1号として登録された「大栄」(鳥取県北栄町)は、隣に『名探偵コナン』で有名な地元出身の漫画家を顕彰する「青山剛昌ふるさと館」があり、多くのファンも訪れている。
その西隣に位置する琴浦町にも、合併前の旧赤碕町地区に「ポート赤碕」「琴の浦」の二つがある。港町だけに新鮮な海産物が人気だ。だが、そのにぎわいとは裏腹に地区内の買い物事情は厳しい。唯一あったスーパーが9月15日にいったん閉店した。鳥取県内で整理が進むJA系の一つだ。幸い地元の運営会社が引き継いで3週間後に再オープンしたが、住民は不便だっただろう。
先週、平日の昼間に新しくなったスーパーを訪ねた。歩いてやって来て総菜を選ぶ、近所のお年寄りたちの笑顔が印象的だった。
買い物難民問題は赤碕地区に限ったことではない。まだ引き継ぎ先が決まらない店舗もある。道の駅がにぎわう裏側で姿を消す地元スーパー。車や運転免許証を持たない人たちを置き去りにはできない。(健)