暗がりで恐怖体験や不思議な出来事を語る怪談会がこのほど、鳥取県大山町名和の地域自主組織なわのわであった。8月の初回が好評だったため第2弾で、ろうそくをともし町民11人が車座になり、話に耳を傾けた。
町民でつくる実行委員会が主催。地域で語り継がれる伝承や個人的な体験といった、公的な記録や文書に残りづらいエピソードを共有する場にと企画した。
参加者の1人は、夜の大山で遭遇した体験談を披露した。大神山神社奥宮の石畳の参道で夜中、着物を着た男女が歩いているのを見た。その時は宿泊客だと思って気に留めなかったが、後から2人が明かりを持っていなかったことを不思議に思ったという。
近くには悲恋の末に自ら命を絶った女性を慰めるために植えられたマツがあったといい、着物の男女はその霊だったのではないか、とした。聴いていた参加者は時折、悲鳴に似た声を上げていた。
実行委員会副会長の白石泰志さん(42)は「披露される話しから地域の歴史や伝統が垣間見える。自分たちのルーツに関心を向けるきっかけにもなる」と意義を話した。
(中村和磨)