今年100周年を迎えた大学ラグビー伝統の一戦・早明戦は明治に軍配が上がった。「縦」の明治と「横」の早稲田。明治が最大38点差をつけたが、早稲田も土俵を割らない。「これぞ早明戦というゲームになった」と明治の神鳥裕之監督。実力で推し量れない力学が働くのが伝統の一戦である。
アメリカンフットボールの場合は日大と関学大だろう。大学日本一を決める甲子園ボウルで30回対戦。お互いのチームカラーにちなみ「赤と青の対決」と呼ばれ、多くの名勝負を生んだ。
フェニックス(不死鳥)の愛称で知られ、21度の学生日本一に輝いた日大アメフト部の廃部方針が示された。理事会で継続審議中だが、違法薬物使用による部員の相次ぐ逮捕で83年の歴史で最大の苦境に立たされている。
団体競技と連帯責任の関係は悩ましい。活躍の場を奪う廃部は無関係な部員への人権侵害との指摘もある。ただ、根は深い。集団的で常習的な犯罪と疑われ、大学側の隠蔽(いんぺい)とも受け取れる対応も問題視された。加えて悪質タックル問題から再生の途上で起きた不祥事である。林真理子理事長は「連帯責任は肯定すべきではないがそうすべき時がある」と苦悩する。
近大ボクシング部や国士舘大剣道部のように不祥事による廃部・解散を経て復活した例もある。忍びないが「ムラ社会」の体質を変える最後の機会と捉えたい。グレーな形の決着で伝統は紡げない。(玉)