「チョコレート・アンダーグラウンド」(左)ほか
「チョコレート・アンダーグラウンド」(左)ほか

「今日の夕方5時から、チョコレートを法律(ほうりつ)で禁止(きんし)します」と言われたら、あなたはどうしますか? ほかのお菓子(かし)も禁止ですよ。その法律に従(したが)いますか? それとも、バレないようにお菓子を隠(かく)すでしょうか?

 『チョコレート・アンダーグラウンド』(アレックス・シアラー著(ちょ)、金原瑞人(かねはらみずひと)訳(やく)、求龍堂(きゅうりゅうどう))では、人々の「健康のため」という名目のもと、チョコレートを禁止するおかしな法律が制定(せいてい)されます。うまく隠しても、高性能(こうせいのう)の探知機(たんちき)で必ず発見され、バレたら恐(おそ)ろしい場所へ連れて行かれるのです。

 しかし、チョコレートが大好きな男の子、ハントリーとスマッジャーは、そんな法律に従うなんてできません。2人は、チョコレートを食べるため、危険(きけん)を覚悟(かくご)で行動を始めます。そして、ある秘策(ひさく)を使って、バレずにチョコレートを手に入れる方法を考えつくのですが…。

 最後は、2人を捕(つか)まえようとする隊員たちと、チョコレートを食べたい子どもや大人(おとな)を巻(ま)き込(こ)んで、国中が大混乱(だいこんらん)に! ハントリーたちは、大好きなチョコレートを食べる自由を取り戻(もど)せるのでしょうか?

 たとえ法律でも、一方的に国民の自由を奪(うば)っていいわけではありませんよね。とはいえ、もしも「面倒(めんどう)なことはやらない」「気に入らない相手を平気で傷(きず)つける」人ばかりになったら、それも「自由」で許(ゆる)されるのでしょうか?

 そこで浮(う)かぶ疑問(ぎもん)が『自由って、なに?』(オスカー・ブルニフィエ文、西宮(にしみや)かおり訳、フレデリック・レベナ絵、重松清(しげまつきよし)日本版(ばん)監修(かんしゅう)、朝日(あさひ)出版社(しゅっぱんしゃ))です。「子ども哲学(てつがく)」シリーズの1冊(さつ)であるこの本は、疑問(ぎもん)をくり返しながら答えを考える仕かけになっています。

 「みんながいると、自由にできない?」「好きなことだけして、この先もずっと自由でいられる?」など、答えが一つとは限(かぎ)らない疑問が続きます。今のあなたはどんな答えを出すでしょうか?

 一方、答えが一つの疑問もあります。たとえば「子ども」って何歳(さい)まで? という疑問。これは『ビジュアル版(ばん) 子どもの権利(けんり)宣言(せんげん)』(シェーヌ出版社編(へん)、遠藤(えんどう)ゆかり訳、創元社(そうげんしゃ))を読むと解決(かいけつ)します。第1条(じょう)に「子どもとは、18歳になっていない人」と書かれています。

 本書は、「子ども」を守る権利が分かりやすい言葉で書かれており、イラストも添(そ)えられています。「差別されない権利」「自由な時間をもつ権利」など、初めて知る人も多いと思うので、一度読んでみてください。

 あなたは、いま幸せですか? 正しい知識(ちしき)を得(え)ることは、自分や大切な人を守ることにつながります。さらに、困(こま)っている人を助ける力に変わります。

 今日、12月10日は「国際(こくさい)人権デー」です。世界中の人々が安心して暮(く)らすために、大人も子どもも一緒(いっしょ)に考え、できることから一つずつ行動していきましょう。

 (細貝真理子(ほそがいまりこ)・川本(かわもと)町立川本中学校図書館司書)