先日の本紙こだま欄に「ら抜き言葉」に強い抵抗感をお持ちの方の投稿が載った。当方が10月19日付の小欄で、話し言葉や読み方の変化を取り上げたのがきっかけになったのだろう。その中で、ら抜き言葉にも触れ「言葉は時代とともに変わる」「目くじらを立てられないか」と結んだのがお気に召さなかったようだ。
「見れる」「来れる」などのら抜き言葉については国語審議会が1995年に「改まった場での使用は現時点では認知しかねる」とした。共通語では誤りとされ、新聞などでは使われず、文化庁の世論調査でもまだ少数派だったことが理由。しかし2020年度の同じ調査では「見れる」「来れる」を使う人が過半数に達した。
スマートフォンなどが普及し、誰でも手軽に情報発信できるようになったことで言葉遣いの変化が急拡散している気がする。とても素晴らしいという意味で「やばい」を使ったり、「すごい速い」と言う人が増えたりしているのも、そのせいかもしれない。
この流れを止めるのは容易ではない。最初は誤用でも、使う人が増えて支持する人が多くなってくれば、やがて辞書にも併記される場合がある。せめて話し言葉と書き言葉を区別し、話し言葉も相手や場面によって使い分けるようにしたい。
言葉の「乱れ」に敏感な方からの投稿のおかげで、改めて正しい言葉遣いを意識してもらう機会になり、感謝している。(己)