来年春に卒業する学生の採用選考が今月1日解禁された、はずだが、1日時点の内定率は民間調査で既に7割近くに達しているという。毎年のことながら、解禁破りのフライングが過ぎやしないか▼コロナ禍2年目でオンライン選考が定着し、早期化に拍車を掛けた一面もあるのだろう。山陰両県でもウェブ面接のみで内定を出す企業は増えたようだ。便利さの半面、学生からは、企業訪問まで中止されて、「会社の雰囲気をつかみにくい」といった声が聞こえてくる▼学生に伝わるかどうかはさておき、企業は企業で、職場の雰囲気や空気感にいや応なしに意識を向けることになりそうである。男性の育児休業の取得を促す改正育児・介護休業法が成立した▼子どもが生まれてから8週間以内に最大4週間の休みを取得できる「男性版産休」の新設が柱。「もちろん休むよね?」と、取得の働き掛けが来年4月からは義務化される。そう笑顔で聞いてくる上司の目が笑っていなかったり…。そもそも「休みます」と進んで言い出せる雰囲気が職場にあるかどうか▼内定率とは打って変わって、男性の育休取得率は7%台と底辺をはう。それだけ課題は山積する。来年の施行を待ってなどと言わず、取得促進に向けた取り組みを始めたい。そこはフライングの勢いで。男性が産休もろくに取れない会社なんてノーサンキューだと学生に言われないためにも。(史)