何の名前か分かるだろうか。さくら、みなみ、朝陽(あさひ)―。大手保険会社が毎年発表する「赤ちゃんの名前ランキング」かと思いきや、過去5年に出雲市内で開校した市立小学校の名称だ。いずれも少子化に伴う学校の統廃合で誕生した▼市北部のさくら小は旧佐香小の「さ」と旧久多美小の「く」を取り入れ、市南部の旧朝山小と旧乙立小が統合したみなみ小は校区内の南中学校との一体感などが命名理由だ。旧檜山小と旧東小が一つになった宍道湖近くの朝陽小は湖に映える朝の太陽から名付けたという▼北海道にはカエデを由来とした市立メープル小学校もあり、親しみやすさで校名が決まるのは平成、令和の時代感覚だろうか。ただ、古くから愛された地名が消えるのは、どうもさみしい▼小学校は江戸時代の寺子屋や郷学校が起源。明治初期には今よりも多い2万4千校が全国の村々に開設され、大半の校名が地名なのはその名残のようだ▼地名に関しては、山陰で最も知られるのは出雲だろう。1300年以上の歴史があり、昨年5月からは出雲地域で車のナンバープレートを取得した場合の地名表示も「島根」から「出雲」となった。知名度をさらに高める「走る広告塔」としての効果とともに、地名への愛着を再認識し、地域愛を深めるきっかけになることを期待したい。人口が減り、閉校の憂き目に遭う小学校は、もう増えてほしくない。(文)