梅雨時の心に潤いを与えてくれる紫陽花(あじさい)は、花の色が時期によって変わることから「移り気」「無常」などの花言葉を持つ。加えてその色ごとに花言葉があるという▼名前にもある紫と青は「神秘的」「知的」。雨の日も咲き誇る凜(りん)とした様子から付いた。緑は「ひたむきな愛」、白は「寛容」…。見る角度により、さまざまな顔を見せる万華鏡のようだ▼この人もさまざまな顔を見せてきた。女子テニスの大坂なおみ選手。2018年の全米オープンで四大大会シングルス日本勢初優勝を飾った際の無邪気な笑顔が印象に残るが、試合中に感情を制御できず怒りでラケットをたたき壊したことも。昨年は白人警察官による黒人男性暴行死事件の抗議デモに参加。全米オープンでは黒人被害者名が入ったマスクも着用した▼テニス選手の枠を超えて、オピニオンリーダーとしての発信力に注目が集まっている半面、想像以上の反響に困惑もあったのだろう。先の全仏オープンでは記者会見拒否で大会主催者側と対立し、突然棄権。「うつ」状態で苦しんでいると告白し、世界に衝撃を与えた。28日に英国で開幕するウィンブルドン選手権は欠場。それでも、母国開催の東京五輪には出場する意向という▼苦悩する23歳に贈るならピンクの紫陽花か。花言葉は「元気な女性」。五輪開幕までには心に潤いを取り戻し、元気な笑顔でコートに戻ってきてほしい。(健)