日本海沿いの皆生海浜公園に設置されている防災行政無線の屋外スピーカー=米子市皆生温泉4丁目
日本海沿いの皆生海浜公園に設置されている防災行政無線の屋外スピーカー=米子市皆生温泉4丁目

 能登半島地震で1日に発令された津波注意報をめぐり、山陰両県の市町村で屋外スピーカーによる呼びかけ方法に違いが出た。日本海沿岸19市町村のうち、7市町が全国瞬時警報システム(Jアラート)と連動して自動放送したのに対し、12市町村は連動させずに職員らの手で周知した。Jアラートと連動させて早期に第一報を伝えるか、警報と区別して不安をあおらないようにするかで対応が分かれた。
(古瀬弘治)

 津波注意報は「予想される津波の最大波が高いところで0・2メートル以上、1メートル以下の場合で、津波による災害の恐れがある場合」に発表される。

 情報はJアラートで受けるが、警報のときは対象の全自治体が一律に受信と連動してスピーカーからサイレンが鳴る。注意報は連動させてスピーカーを鳴らすかどうかは自治体の判断に委ねられている。

 山陰両県の沿岸19市町村のうち、Jアラートの受信と連動してスピーカーで呼びかけるのは、松江、浜田、出雲、大田、江津、鳥取と湯梨浜の7市町。

 ほかの12市町村はJアラートと連動させず、職員が役所で手動でスピーカーから告知したり、戸別受信機で伝達したりしている。自動でサイレンが鳴る警報と区別して不安をあおらないようにする配慮や、高さ1メートルなら防潮堤などで防げることが理由という。

 今回は山陰両県の沿岸部全域に注意報が1日に発表され、境港市60センチ、島根県隠岐の島町30センチ、鳥取県岩美町20センチを観測した。

 Jアラートと連動する松江、鳥取など7市町は、受信した午後4時12分に屋外スピーカーでサイレンを鳴らすなどして周知。鳥取市危機管理課の植田孝二課長は「避難を促すためにも、第一報はいち早く伝えるべきだ」と話す。

 一方、元日の閉庁日で島根県隠岐の島町は宿直が屋外スピーカーで発信したのが午後4時20分、鳥取県大山町は職員が役場に着いてから屋外スピーカーで流したのが同4時40分だった。

 午後5時5分に警戒を呼びかけた米子市の松本清志防災安全監は「釣り人など海岸線にいる方もいて、避難の呼びかけは重要。近隣自治体とともに鳴らし方を検討したい」と話した。