全国的に流通し、特に消費が多い重要な野菜「指定野菜」に、2026年度からブロッコリーが加わることになった。指定野菜の追加は52年ぶり。特定野菜から指定野菜への仲間入りで価格が大幅に下がった場合、農家への補填(ほてん)が手厚くなる。一大産地のある山陰両県では、農家が新規就農や栽培者の増加を期待する声が上がる。栄養満点の野菜に健康を気遣う消費者も歓迎した。 (森みずき)
指定野菜は現在14品目あり、野菜全体の栽培面積、購入量の7割、出荷量の8割と大部分を占める。新たな指定野菜は1974年のバレイショ以来となる。

消費量の増加で、山陰両県でもブロッコリーの栽培面積が近年増加。2022年の栽培面積は島根県が12年比14%増の122ヘクタール、鳥取県が同7%増の805ヘクタールある。
西日本有数のブロッコリーの産地・鳥取県大山町を含む計約290ヘクタール栽培するJA鳥取西部ブロッコリー部会の山本宜司部会長(60)は「30、40年前はカリフラワーのほうが食卓に上がった」と親しみある野菜としての定着を喜ぶ。
指定、特定野菜は栽培を継続し生産量を維持するため、産地で市場価格が著しく低下した場合、国が生産者や道府県とともに積み立てた資金で、農家の収入の落ち込みを補填する。額を算出する際の補填率は指定野菜が原則90%で、特定野菜の80%より手厚い。
JAしまね出雲ブロッコリー部会は、ピークだった08年の会員74人が高齢化に伴い66人に減少。栽培面積も67ヘクタールから60ヘクタールに減った。高栄養価の品種生産や機械化に取り組み、所得向上に取り組むが、近年は物価高騰で手取りが減っている。山根康生部会長(62)は「農家の所得が増え、若い参入者が増えるといい」と指定野菜への格上げでブロッコリー農家の増加を期待する。
ブロッコリーは野菜の中ではタンパク質を含み、筋肉の減少を防ぐビタミン成分も豊富。出雲市塩冶神前3丁目のロワンテパーソナルジムの朝倉王志オーナー(29)は「無駄な調味料を使わず、ゆでるだけで食べられる。効率的に栄養が取れる」と客に勧めており、生産量が増加し健康作りにもつながることを願った。