記者会見する「人口戦略会議」議長の三村明夫氏(手前から2人目)=1月9日、東京都千代田区
記者会見する「人口戦略会議」議長の三村明夫氏(手前から2人目)=1月9日、東京都千代田区

 昔の話だが、売上高が年々落ち込む見通しの経営計画の原案を作って叱られた友人がいる。「こんなものは計画ではない」「社員の士気に関わる」など散々だったという。右肩上がりの時代の名残もあったのかもしれない。結局、現状を維持する計画で決着したそうだ。

 人口減少問題の記事を読むと、この話を思い出す。国立社会保障・人口問題研究所が昨年公表した長期参考推計によると、日本の人口は2100年には約6300万人に半減。高齢化率も40%になる。

 遠い先のことのようだが、今年生まれた子や孫が後期高齢者になる頃の見通しだ。地域別の数値が出ている2050年の推計では、島根県の人口は約49万7千人、鳥取県は約40万6千人に減少。生産年齢人口(15~64歳)の減少も深刻化する。それから50年後には、もっと減っているだろう。

 経済界の有志などでつくる「人口戦略会議」が先月、2100年に人口8千万人を目指すよう提言。内閣への司令塔設置を求めた。この機会に「人口半減時代」を見据えた国や地方の青写真を描けないかと思う。

 考えたくない事態だから想定しないのではなく、事前に備えをしておく方が影響は軽減できる。例えば地域によっては生活に必要なサービスの維持が難しくなる恐れがあるが、制度を見直したり、合意を得たりするには時間がかかる。何もせず、子や孫たち任せにするわけにはいかない。(己)